12月1日から『ながらスマホ』運転が厳罰化!2秒以上の画面注視で違反。反則金は60億円の増収に!?

■運転中に通話か画像を2秒以上見ると「使用違反」!

●反則金は普通車で6000円から1万8000円に、違反点数も1点から3点に引き上げ

 2019年12月1日、『ながらスマホ運転』の厳罰化が始まる。

ながらスマホ運転
12月1日から『ながらスマホ運転』の厳罰化がはじまります。

 その理由を警察庁は、交通事故全体は減少しているなかで携帯電話使用等による事故は増えており社会問題にもなっているから、としている。
 データ的にはこうだ。

  2009年 事故全体:73万7637件
      うち携帯電話使用等:1380件
  2018年 事故全体:43万0601件
      うち携帯電話使用等:2790件

 携帯電話使用等は、スマホなどを手に持って通話するだけでなく「画像注視」も違反になる。カーナビや車内テレビの注視も含む。
 「注視」は2秒以上と解されている。時間を確認するために一瞬見るのはOKだが、LINEやメールなどを読むと違反になるわけだ。
 運転中に通話するだけ、あるいは画像を見るだけの違反を「使用違反」という。その反則金はこう値上げされた。

  大型車   7000円 → 2万5000円
  普通車   6000円 → 1万8000円
  自動二輪  6000円 → 1万5000円
  原付バイク 5000円 → 1万2000円

 おおむね3倍の値上げだ。違反点数は1点から3点に引き上げられた。

 一方、単に使用するだけでなく「よって道路における交通の危険を生じさせた」場合は「危険違反」とされる。
 危険違反も従来は反則金の対象で、使用違反より若干高額だった。たとえば普通車は反則金9000円というふうに。
 だが、今後は反則金ではすまない。「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」の対象になった。点数は2点から6点へ引き上げられた。

●反則金収入は60億円の大幅増収の見込み!?

 危険違反の取り締まりは、これまで極めて少なかった。
 2018年の携帯電話使用等の取り締まり84万2199件のうち、使用違反は84万2041件。危険違反はたった158件にすぎない。「交通の危険を生じさせた」ことの立証が難しいせいかと思われる。

 今回の厳罰化により『ながらスマホ』の交通事故は果たして減るか。
 テレビが厳罰化を大報道してしばらくは少し減るだろう。しかし、やがてまたもとへ戻るのではないかと私は想像する。
 今やスマホを片時も手から離せない人は多い。また、飲酒運転の事故や特殊詐欺の被害からも分かるように、人間は厳罰化や重大事故・事件を他人事としてとらえがちだからだ。

 とはいえ、確実に大きく影響するだろうことがある。それは反則金収入だ。
 厳罰化は、その違反が非常に悪質と警察が認めたことを意味する。当然、非常に悪質な違反に対しては取り締まりを強化する。

取り締まり
厳罰化により、「ながらスマホ運転」の取り締まりが強化されることが予想されます。※写真はイメージです。

 今後、どれぐらい増えるか。
 2018年の使用違反の取締りは約82万件だった。ピークは2011年で約134万件だった。今後、2018年より50万件ぐらい増やすのは十分に可能なはず。
 普通車の反則金は6000円から1万8000円へ、1万2000円の値上げとなった。シンプルに普通車で計算するとこうなる。

  1万2000円×50万件=60億円

 なんと60億円の『増収』が見込めるのである!
 反則金収入(年間の全体の納付額)は、1987年には1000億円を超えていた。ところが近年どんどん減り、2018年は約508億円にまで落ち込んだ。
 2020年は500億円を割り込むことが確実と思えたが、『ながらスマホ』の厳罰化で少し押し戻すことができそうだ。

●停止中は携帯電話使用の規定の例外

 おっと、念のため言っておこう。携帯電話使用等の規定(道交法第71条第5号の5)はこうなっている。

「…運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き…」

 信号待ちや大渋滞で停止しているときはセーフなのだ。
 けれど、運転者の無知につけ込んで取り締まり、違反切符にサインさせてから、あとで報告書には
「動きだしてからも約5秒間、画像を注視しているのを現認した」
 とか書く、そんな警察官もいるかもしれない。
 そういう場合のためにも、車内も録画するドライブレコーダーは役に立つ。

 とにかく、ながらスマホ運転は、厳罰化されたから急に危険になったわけじゃない。もともと危険なのだ。そこは十分、肝に銘じてほしい。

(今井亮一)