●ポールポジションが失速。勢いますGT-R勢だったが…
11月3日にツインリンクもてぎで開催された「2019 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 250km RACE」決勝レース。いよいよ今シーズンのチャンピオンが決定する大一番です。
14時30分、栃木県警の白バイやパトロールカーの先導で交通安全啓発のためのパレードランから1周のフォーメーションラップを経て決勝レースがスタート。
ポールポジションの720号車 McLaren 720Sが好スタート! 56号車 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R、65号車 LEON PYRAMID AMGと上位陣は予選順位通りにマシンが続きます。
その3台の背後では11号車 GAINER TANAX GT-Rと、ランキングトップでチャンピオンに王手が懸かる55号車 ARTA NSX GT3、4号車 グッドスマイル 初音ミク AMGの3台が上位陣に襲いかかる手がかりとして激しいせめぎあいを繰り広げます。
この争いから抜け出したGAINER TANAX GT-Rが一気に3番手に浮上。また序盤にリードを築こうとしたトップのMcLaren 720Sに、徐々にリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが徐々に近づいてきます。7周目の90度コーナーでリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rがインから抜きにかかると、すかさずGAINER TANAX GT-Rも抜きに出ます。
ここで勢いをなくしてしまったMcLaren 720SはARTA NSX GT3とLEON PYRAMID AMGにも抜かれてしまい、トップ交代を余儀なくされました。
ランキング2位からタイトルを狙いながらも予選は17位と出遅れた96号車 K-tunes RC F GT3は、スタートを担当した新田守男選手が混乱必至のGT300中位勢をガンガンに抜きまくり、8番手までポジションを上げていきます。
17周目辺りからピットインをするチームが出始め、22周までにはGT300の全車がピットインを終えます。その中には250kmというレース距離を踏まえタイヤ無交換で勝負に出るチームもありました。
そのタイヤ無交換作戦でトップに返り咲いたのがLEON PYRAMID AMG。ピット作業時間の大幅短縮によりリアライズ 日産自動車大学校 GT-RとGAINER TANAX GT-Rの前に出たのです。
レース後半に15秒という大差をつけるLEON PYRAMID AMGを必死で追いまくるリアライズ 日産自動車大学校 GT-RとGAINER TANAX GT-Rの2台のGT-R。
しかしリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが突然スローダウンし、そのままマシンを止めてしまいます。しばらくすると再び動き出すリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rですが、順位は5番手まで下がってしまうことに!
そこで2位に浮上したのがGAINER TANAX GT-R。3番手にはARTA NSX GT3が上がりますが、さらにその背後にはなんとここまで13台も抜いてきたK-tunes RC F GT3が迫っていたのです。
レースはファイナルラップまでLEON PYRAMID AMGがリードしてきましたが、そのファイナルラップの最後の最後、セカンドアンダーザブリッジをくぐりビクトリーコーナーに差し掛かるところで突然のペースダウン。止まりそうな勢いでギリギリのチェッカーフラッグをくぐり抜けようというところでGAINER TANAX GT-Rに抜かれてしまいます。
そして優勝を勝ち獲ったのはギリギリでLEON PYRAMID AMGを追い抜いたGAINER TANAX GT-R!
2位はLEON PYRAMID AMG、そして3位にはK-tunes RC F GT3が入りますが、チャンピオンはポイント差で4位入賞のARTA NSX GT3が獲得。
チャンピオンとなったARTA NSX GT3がパルクフェルメにやってくると、待ち構えていた高木真一選手がマシンに飛びつきます。
最終的にランキング2位のK-tunes RC F GT3に11.5ポイント差をつけての堂々のチャンピオンとなりました。
高木選手とARTAのGT300にとっては17年ぶりのチャンピオン。また、NSX GT3としても初のチャンピオン。福住選手にとってはデビューした年にチャンピオンという偉業を成し遂げています。
最終戦までもつれ込んだチャンピオン争いは、SUPER GTを象徴するかのよう。そしてファイナルラップの最終コーナーでの突然のドラマ。今シーズンの熱い戦いは来シーズンも続いていくことでしょう。
(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)