■軽自動車について公式にはノーコメント。かつてはAZ-1というクルマもあったが…
アクセラのフルモデルチェンジに合わせて「MAZDA3」へと改名したのに続き、マツダ車のグローバルネームへの統一が進んでいます。デミオは「MAZDA2」となり、アテンザは「MAZDA6」になりました。
その是非はあるでしょうが、かつてファミリアがアクセラになったり、カペラがクロノスと変わったり、ルーチェがセンティアを経て、実質的にアテンザになったりといった変遷を思えば、あるタイミングで車名を一気に変えてブランド価値を高めようという施策自体を否定すべきではないでしょう。
もちろん、従来モデルのユーザーへのケアやリセールバリューを含めたブランド価値を高める工夫などが必要なのは言うまでもありませんが。
さて、登録車については「ロードスター」以外はグローバルネームに統一したマツダですが、軽自動車についてはどうなるのでしょう。マツダ広報部に確認したところ『軽自動車の将来については何も言えません』ということでした。
マツダの軽自動車はスズキからのOEMですから、そもそもグローバルネームというものがありません。たとえば、スズキ・アルトのOEM車はマツダ伝統の「キャロル」という名前を与えられていますし、それ以外のモデルは「フレア」シリーズとして展開しています。1BOX系には「スクラム」の名前が使われています。
ちなみに、マツダの軽自動車販売は2019年上半期で19,996台(前年同期比87.7%)となっていますが、これはOEMによって軽自動車を販売している3ブランド(マツダ、SUBARU、トヨタ)の中ではもっとも大きい販売台数です。
マツダの軽自動車について公式見解としては、名前を変えるかどうかも含めてノーコメントというわけですが、仮に登録車に合わせて軽自動車もリネームするとしたら、どのような名前が考えられるでしょうか。グローバルネームに合わせるのであれば、もっとも小さなマツダ車ということで「MAZDA1」というのも馴染みそうですが、ドメスティックな軽自動車にグローバルネームの法則を当てはめるのも違和感があります。
そこで思い出すのが、かつて存在していたアルファベットと数字の車名「AZ-1」です。マツダの軽自動車が「オートザム」ブランドで展開していた1990年代に生まれたミッドシップ・ガルウイングドアの2シータースポーツカーにはオートザムに由来するアルファベットと数字を組み合わせた名前が与えられていました。また、その後「AZ-ワゴン」(ワゴンRのOEM車)、「AZ-オフロード」(ジムニーのOEM車)といった名前を使った時代もありました。「AZ+数字」という車名であればマツダの軽自動車としての伝統も感じさせますし、また登録車のリネームとの統一性も生まれるのではないでしょうか。
もっとも、「黒マツダ」とも称される新しいブランド価値を具現化したショールームとOEMの軽自動車は、けっして親和性がよいとは言えません。車名の統一感を求める以前に、軽自動車を扱う既存店と徐々にフェードアウトする新設店といったすみ分けを進める可能性も完全に否定はできないといえます。
いずれにしても「MAZDAという名のクルマたちが走り出す」というキャッチコピーによりブランドメッセージを送る新生MAZDAにおいて、軽自動車の未来がこのままというわけにはいかないことでしょう。
(山本晋也)