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■ライブワイヤーの0-100km/h加速はなんと3秒!航続距離は最大235km
ハーレーダビッドソンが米国で今夏販売(29,799USドル=約322万円)をスタートする電動モーターサイクル「LIVEWIRE(ライブワイヤー)」のジャーナリスト向け試乗会は、アメリカ・オレゴン州ポートランドにて開催されました。
ハーレーダビッドソンジャパンの全面協力のおかげもあり、日本から参加させていただきましたが、実際に乗った印象は、意外にも既存のモーターサイクルと同じ感覚でライディングが楽しめる部分が多くあるということです。
●あえて強調されたメカニカルサウンドに血が騒ぐ!
もちろん音は静かで、Vツインエンジンのようなドコドコと揺れる鼓動はありません。ただし、キーンというモーター音がアクセルを開けるとヘルメット越しに聴こえ、かなりの高揚感を伴います。
これはハーレーダビッドソンがVツインエンジンでモデル開発する際、ずっと昔から言い続けてきた「ルック」「サウンド」「フィール」の3つにこだわるというコンセプトを、電動になっても貫いているからなのです。
「電動は無音が利点なのでは?」と思いきや、モーターとギヤのメカニカルサウンドをあえて強調し、エキサイティングなサウンドとしているのです。
105馬力(78kW)、最大トルク116Nmを発揮する強力なモーターは、シャシー底部に縦置きにマウントされ、車体の重心が低く操縦性を高めていますが、出力を90度変換し、ドライブベルトスプロケットに合わせるためにギヤセットが必要となります。
それこそがライブワイヤーならではのメカニカルサウンドを生み出し、加速時に胸高鳴る音色の正体となっているのでした。
●エンブレみたいに使える回生ブレーキのセッティングが秀逸
そしてもうひとつ。エンジンブレーキにかわる回生ブレーキでの減速感も秀逸だと感じます。セッティングはライダーモードの設定によって選ぶことができ、ワインディングで好んでチョイスしたの「スポーツ」でした。
コーナーアプローチで程良く車速が落ち、まるでエンブレを使ってコーナーに進入していけるようなパワーフィーリングになっているのです。これには舌を巻くばかりです。
ライダーモードはパワー(最大加速度)、回生、スロットルレスポンス、トラクションコントロールを組み合わせて構成され、ほかにも「ロード」「レンジ」「レイン」と、状況や乗り手の好みに合わせて使えるようあらかじめ作り込まれています。
「ロード」は日常の場面に合った扱いやすさ、「レンジ」はバッテリー残量から走行距離を最大限引き出すように、「レイン」はその名の通り雨天時やトラクションがかかりにくい路面でも安心できるように加速と回生が制限され、電子制御の介入レベルが高くなります。
この先進的でセッティングが巧みな電子制御、今後のVツインスポーツにも搭載されてくると、かなり面白いのではないかと期待せずにはいられません。
●電動は決して無味無臭ではない!モーターサイクルの未来が見えた!?
こうした電子制御の味付けやサウンドへのこだわりによって、無味無臭ではないかと乗る前までは不安があった電動ロードバイクを、時間を忘れて夢中にさせる乗り物へとハーレーダビッドソンが昇華させていることに感心しました。
Vツインエンジンを積んだハーレーダビッドソンとはまったく異なるものなのは言うまでもありませんが、ライブワイヤーならではの楽しさがあり、これはモーターサイクルの新たなカタチのひとつなんだと思います。
風を感じ、二輪で走る楽しさは同じですし、120年近く前にモーターサイクルをつくりだしたときのように、またハーレーダビッドソンの新たなるチャレンジが始まっているのです。これを見過ごす手はありません!
(文:青木タカオ/写真・動画:ハーレーダビッドソンジャパン)