「新型デリカD:5」は世紀のイケメンか? それとも超絶ブサイクか?

■足し算されたデザインは「賛」か「否」か?

こだわりの強いオーナーさんが多いという印象を受ける「デリカ」。

家族のためにミニバンに乗らなくちゃいけない→でもミニバンは嫌だ→そうだ!デリカに乗ろう! というのが私の「デリカD:5」オーナーのイメージ。というか、実際に私の周りにもそんなオーナーさんがいるので実話です。

確かに三菱自体も「MPV」(ミニバン)と「SUV」を融合する「オールラウンドミニバン」と言っており「唯一無二の存在」であると。

新型「デリカD:5」は、メディア向けの試乗会は開催されたようですが、私が新型の三菱「デリカD:5」に最初に試乗したのは北海道での雪上試乗会。

「いきなり雪道でもな~」という感じでしたが、それでも「デリカD:5」の世界を堪能。

そして今回やっと、公道での試乗が叶いました。

新型「デリカD:5」は、2.2Lの新型ディーゼルターボエンジンのみの設定。新開発の8速スポーツモードATの採用でパワフルでよりシフトチェンジが滑らかになっています。確かに上り坂でもそう大きなうなり声をあげることなくぐいぐい前進しますね。また、尿素SCRシステムの搭載で燃費が良くなり、Noxの低減も実現しています。

予防安全技術「e-Assist」を新しく採用し、衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)や車線逸脱警報システム(LDW)、アダプティブクルーズコントロール(ACC)などによって「サポカー」となっています。敢えてプレゼンテーション時に「車速感応オートドアロック」の話をしていましたが、車が走り出して決められた時速になるとドアが自動ロックされる機能が装備されたのは女性として喜ばしいことです。

しかし新型「デリカD:5 」で、もっとも話題になっているのはフロントデザイン。縦に並ぶマルチLEDヘッドライトやLEDのポジションランプに直線的なグリル。新型「デリカD:5」はフロントの4段のハニカムデザインのメッキグリルが「4枚歯の髭剃りに似ている」という声も。新型「デリカD:5アーバンギア」のほうは、メッキグリルも直線で、より高級感を演出したとのこと。バンパー部分にも「D:5 」のほうは下にも直線のメッキでアクセント。「アーバンギア」のほうは、下部分は直線。

賛否両論の意見がありますが、大きいのは今のところ「否」のほう。でも当初に比べると「賛」の意見が増えてきたように感じます。私も初めはギョッとしましたが、見ているうちにこれはインパクトがあってよいのではないかと。いえ、むしろこれぐらいやらないとこの手のクルマは他のクルマに負けてしまうという危機感があったのではないかと思います。

三菱はフロントフェイスのデザインを「ダイナミックシールド」というパジェロの頼りがいと、ランエボのパフォーマンスを台形グリルで融合させたデザインコンセプトを提唱し、新型「アウトランダー」から採用しています。去年発売された「エクリプスクロス」もSUVなので強めのフロントマスクでしたが、今回はさらにそれを軽く上回るインパクト。

個人的には、デザインには好みがあるので一概にいい、悪いは言えませんが、どちらにしても人々の話題に上るだけで、このデザインは成功だと思います。その昔、BMWが第4世代の7シリーズで物議を醸しましたが、それがその後、見慣れてくるとカッコよく見えたり、「レクサス」もスピンドルグリルにしてから存在感が増しています。デザインを変えるのは勇気がいることですが、まずは競合に負けない個性…それが絶世のイケメンか、究極のブサイクなのかはわかりませんが、少なくとも私としてはこれはアリです。ちなみに見慣れた私は、初めは「D:5」のほうがインパクトがあると思いましたが、今は「アーバンギア」のほうがむしろ実は強いデザインだと思っています。

最近のデザインは「引き算」が美しいとされていますが、新型「D:5」&「D:5アーバンギア」はそれを逆行している感じですね。カスタネットに例えるとウン、タ、ウン、タと休むのと叩くのを交互に行うところを、ずっとタタタタ…と叩くみたいな畳みかけるデザイン。まるでジェットコースタームービーを見ているようなハラハラドキドキ。クルマ版「カメラを止めるな」ですね。新型「デリカD:5」も「カメラを止めるな」のような大ヒットになることを期待しています。

(吉田 由美)