【2018年最後の試乗会はクルーザー!】
・トヨタにはマリン部門もあり、クルーザーを作っています。
2018年最後の試乗会はクルマではなく、クルーザーの試乗です。
一般的なクルーザーは、燃費が良くてトルクのある軽油を燃料とするディーゼルエンジンが主流ですが、そこにトヨタのハイブリッドシステムを搭載したのがハイブリッドボート「PONAM-28V(ポーナム 28V)」。
全長9.14m、全幅3.16m。エンジン出力は260ps 。12名乗り。
エンジンはトヨタのトラック「ダイナー」や「プラド」と同じ3リッターのディーゼルエンジンを使用。そこにモーターを搭載することでエンジンと電気モーターの両方を動力源として使う「ハイブリッド」(パラレル式)に。発進時や加速時に電気モーターが補助をし、充電も行いながら走ります。
駆動系は船の後方部に搭載され、3つのブースに分かれています。中央はエンジン。左のブースには東芝製のバッテリーモジュールやインバーター、コンピューターなど。右のブースにはモーターが収められています。
心配なのは電気と水との相性。しかも海水となると、安全面が気になるところ。このあたりを聞いてみると「もちろん対策はしています」とのこと。
走行モードはモーターモード/ハイブリッドモード/エンジンモードの3つ。ちなみにプリウスなどだとモーターモードではなく「EVモード」なのですが、こちらは「ビークル」ではないので、「EVモード」と名付けなかったのだとか。
まずはモーターモードにして加速すると、するすると滑り出します。船の場合、燃料の匂いがかなり強く感じますが、まるで電気自動車に乗っているときのように静かで振動もなく、まさに「滑るように」という表現がピッタリの動き。しかも「モーターモード」で走行しているときは燃料の匂いがしないので、乗り物酔いの人には嬉しいかも。
ハイブリッドモードにすると、回転数が1200回転以上になるとエンジンがかかります
ただしドライブモードの切り替えが一旦シフトレバーをニュートラルに入れてからモードスイッチの切り替えをしなければならないのがちょっと面倒臭いですね。
そして一軸のクルーザーでは世界初というTVAS(トヨタ・バーチャル・アンカー・システム)も体験しました。海の上では風向きや潮の流れがあってなかなか同じ場所にいることができませんが、コンピューター制御によってそれが可能に。花火を鑑賞したり釣りをしたいときなどにも活用できますが、安全面でもこれはお役立ちアイテム。
私が興味深かったのは、クラクション(ホーン)が、レクサスのものを搭載しているとのこと。確かにクルマの音です(笑)。
ちなみに今回試乗した「ポーナム V28 」は現在、東京都に無償で貸し出され、東京港内で実証実験中。東京2020オリンピック・パラリンピックの関係者の視察東京港内の施設整備、都民や観光客の見学会などに使用されるそうなので、一般の人でも試乗できる機会があるかも。
市販価格は2200万円~と、ちょっとお高めですが、クリーンで燃費もよいのでこの先の可能性としてアリかも。ちなみに試乗艇は世界でひとつの試作艇なので、お値段は2億円とか!?
というわけで2018年最後の「由美すべ」となりました。今年はご覧いただき、ありがとうございました。2019年も引き続きよろしくお願いいたします。
(吉田 由美)