ソアラより最先端をいくデザインとも言われた初代レパード 80年代のクルマ その2【CAR STYLING VIEWS 12】

81年に発表されたのが初代ソアラですが、最先端のクーペという点では、それより前の80年に登場した初代レパードを忘れることはできません。1.8リッターから2.8リッターまでというワイドなエンジン設定も注目でしたが、なによりも驚いたのはそのカタチです。当たり前だったCピラーがなくなって、窓になってしまった印象。実にルーミーな演出をしながら、スペシャルティの風格をも持ってきたのです。それも単に2ドアだけじゃなくて、4ドアでも同じ印象を維持できているなど、排ガス規制などで暗澹とした70年代後半の反動を一気にはらしたようなクルマでもありました。
さらに面白いのは、ただデザインであっと驚かそうとういのではなく、それらはいろいろな実験的な試みでもあったということです。
ワイドレンジのエンジン・ラインナップもそのひとつではなかったのでしょうか? もちろんCピラーの解放も後方視界の確保、そしてピラー造形に決別したデザインのありかたの模索でもあったでしょう。奇しくもこの時代にはマークIIをはじめとしてCピラーをアクリル樹脂で隠す手法が、流行していました。
室内では、警告灯にびっくりです。メーターパネル内のものを排除して、すべてダッシュボード先端にひさしをつけて並べたのです。この手法は珍しく、その名残は2代目にも受け継がれました。また、ドアの中央付近にあるドアロックは、開けにくいレバーを手前に持ってきたものです。
レパードは、クーペのかっこよさだけでなく、クルマというものの当たり前と思われていたものに、積極的にそれでいいのか? と問いかけてきたようなふしがあります。そんな見方をしてみると、レパードの見え方もまた変わってくるのではないでしょうか?


(MATSUNAGA, Hironobu)