クルマのミラーレス化、という表現で話題のCMS(カメラモニタリングシステム)が話題を集めています。バックミラーをカメラとディスプレイに置き換えることで、空気抵抗や死角を低減、さらに状況に応じた表示切り替えが可能なCMSは次世代の運転支援デバイスとして、すでに2016年から保安基準としても認められているシステムです。
すでにレクサスESにCMSが乗用車として初採用されることが発表されていますが、ドイツではハノーバーモーターショーに合わせてメルセデス・ベンツのトラック「アクトロス」がCMSの採用を発表、また以前からCMSの採用を公表していたアウディの電動車両e-tronもCMSの姿を公開しました。
レクサスは「デジタルアウターミラー」、メルセデスは「ミラーカム」、そしてアウディは「バーチャルエクステリアミラー」という名前を付けていますが、いずれもドアミラー相当に張り出したステーの先にカメラを置き、その映像を室内のディスプレイに映し出すという仕組みは同じ。国際的にCMSに求められる機能を満たした上で、各社が工夫を凝らしているこようです。
メルセデスはトラックなので、求められる機能やデザイン性が異なることもあり、同列に比較するのは難しい面もありますが、この3台のCMSを比べてみるとスマートにまとまっているのは、ドアトリムにディスプレイを埋め込んだアウディと感じる向きが多いかもしれません。
もっとも、メルセデスやレクサスがAピラー付近にディスプレイを配置したのは、初物だけに見やすさ、わかりやすさを考慮した面もあるはずで、どれが正解というのは現段階で決めることは難しいといえるでしょう。
当然、これから市場の声を受けて、各社はフィードバックしてくるでしょうし、市販することで得られたノウハウはグループで共有することになるでしょう。というわけで、ひとまずダイムラー、トヨタ、フォルクスワーゲンの各グループが、CMSという新しいデバイスにおいてリーダーとなるべくスタートを切ったということでしょうか。
今後は、CMSの標準化を前提としたスタイリングも生まれてくるでしょうが、コスト面を考えると、当面の間は、そうした割り切りができるのはプレミアムブランドに限られると予想され、その点からもメルセデス・ベンツ、アウディ、レクサスというブランドが同時期にCMSの採用を発表したのは深い意味があるといえそうです。
(山本晋也)