【ハノーバーモーターショー2018】ドイツで見かけた、日本ではあまり見かけない「はたらくクルマ」たち

ドイツ北部にあるハノーバーで、商用車のモーターショー「IAA Commercial Vehicles(商用車)2018」が始まりました。サッカーファンのみなさんには、原口元気選手と浅野琢磨選手が活躍するブンデスリーグの「ハノーファー96」でおなじみの街ですね。

通称・ハノーバーモーターショーは、2年に一度、乗用車のショーである「フランクフルトモーターショー」と交互に開催されており、今回で67回目を迎えます。

「はたらくクルマ」の中には、一見すると意味不明な巨大なもの、ロボットの部品かと思わせるものなど、珍しい展示が目白押しです。普段、目にする事はあってもあまり注意してみる機会の少ないはたらくクルマ。その一部をご紹介します。

まずは、ずらりと並んだ大型ロボットの腕と見間違えそうなアームの付いたマシン。いわゆるクレーンですが、用途や要求性能に応じて、対応可能な最大重量や高さなど様々な仕様があるそうです。こんなにたくさんの種類のクレーンを、しかも作業用車両に搭載した状態ではなく単体で一度に見られるのは、このハノーバーショーならではです。

次に目を惹いたのは、ロケットを思わせる巨大な筒が搭載されたトレーラー。床に近い方にまわってみると、ハッチが空いていました。

中は空洞。近くにいた説明員に、片言のドイツ語で話しかけてみました。これは、「SILO」とよぶそうです。発音は「シロ」でしたが、家畜の飼料などを保存しておく「サイロ」と同じ名前でしょう。このタンクに液体以外のモノ、例えば成型前のプラスチックの粒や砂糖など、細かな固形物を入れて輸送するためのトレーラーだそうです。

巨大な油圧リフトで斜めになっているのは、目的地に到着したのち、そうした内容物の荷下ろしをするためなのでした。

トレーラー専門メーカーは、トラクター(いわゆるトラックヘッド)の後ろに連結するコンテナやその車軸、荷物の積み下ろしに便利な自動開閉式カーテンなどの展示を行っています。欧州では金属製のコンテナではなく、ソフトな素材でカバーされたトレーラーを頻繁に見かけますが、こういった仕組みなんですね。

その他、パワーショベルなどの建設機器や冷凍コンテナ用の冷却装置など、展示車両・機器のバリエーションの広さは見慣れたモーターショーとは比べ物にならないレベルでした。

今回は、はたらくクルマの中でも、普段あまりなじみの無いモノをご紹介しました。一方で、バス、トラック、デリバリーバンなども含め、ショー全体として見ると、商用車のトレンドは乗用車の向かっている方向とかなり似通っている印象でした。電動化、先端運転支援システム(ADAS)と「コネクテッド」技術を通して、より環境に優しく安全で効率の良い方向に商用車も進化している様です。次回は、そういった面を少しご紹介したいと思います。

(Toru ISHIKAWA)