「チューニングカーだからといってガチガチの乗り心地ばかりである必要はない。ミニバンなのだから乗り心地のいいチューニングとなっていいだろう」という考えを注入したのが無限のオデッセイです。
エクステリアはメッキのアクセントが効いたエアロパーツが装着され、スポーティな雰囲気に仕上げられています。いかにもガンガンに走りそうなイメージですが、その走りはエクステリアのスポーティさとはちょっと違うジェントルな仕上がりでした。
クルマの乗り心地を決めるのは一般的にリヤサスのしなやかさです。試乗車のオデッセイもフロントのスプリングレートはそのままで、リヤのスプリングレートをダウンしています。そうしたうえで、ショックアブソーバーの縮み側の減衰力を落とすというセッティングです。
減衰力が高いとゆっくりと動く特性、低いと速く動く特性になります。オデッセイのリヤはスプリングが柔らかく、ショックアブソーバーの縮み側減衰力が低いので、非常によく動く仕様になっているということになります。
単純にスプリングレートと減衰を下げただけだと、ブワブワした動きになってしまいますが、無限のオデッセイの場合は車高を15mm下げることで安定感を向上。ハンドリングと乗り心地を両立しています。
運転しているときは全体としての柔らかさは感じるものの、乗り心地の悪さはありません。ドライバーはステアリングを握っているので身体が安定しやすく、さらに自分の操作でクルマが動くので動きに予想が付くため乗り心地に不満を感じにくいものです。そこで無限スタッフの運転でセカンドシートに乗ってみましたが、答えはマルでした。これはアリと感じさせてくれました。これならば組み込んでも家族から不満を言われることはないでしょう。
(文/諸星陽一・写真/小林和久、ウナ丼)