マッドハウス・MR2ラングヘック、エキサイティングカーショーのトップを獲った!・その2【OPTION 1985年3月号より】

前回は、製作途中のよく分からない写真ばかりでしたが、どうです、この完成した姿! 奇才マッド杉山の生み出した、最高速狙いスペシャルのMR2ラングヘック。この年行われた「第3回東京エキサイティングカーショー」でエキサイティングカー大賞を受賞した、その姿をプレイバックしましょう!

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息を飲むフォルムに驚異のチューンドパワー!
MAD’S MR2 Lang Heck

ボディ形状、エンジンチューニング共にエキサイティングの言葉を与えられたマシンは、やはりマッドハウスの作り上げたMR2ラングヘックだった。

全高1069mm、全幅1665mm、全長3925or4925mm。谷田部での最高速トライアルマシンとして、考えられることをすべて織り込んだ形状だ。ダウンフォースを得ることよりも、直進安定性と無駄のない空気の流れを求めたスペシャルボディ。それが実に美しい。

フロントはよりシャープに、そしてウインドウに続くラインは同一角度。これはレーシングカーに使われる手法だ。サイド部はフロントホイールアーチからドア後部のエアインテークに向かい、エアを導き、絞り込まれたロングテール後方へと流れていく。このロングテールにも高価なハニカム材を使用して、超軽量でありながら信じられぬほどの強度を持っている。そして上部には高速直進性をアップさせるために垂直尾翼とも呼べるフィンが付けられる。

ドアについては、超高速時の信じられぬ力に負けないように、ヒンジの位置を変えたガルウイングドアなど、細部にまで配慮が行き届いている。

エンジンは富士スピードウェイのレース村にあるカシマ・エンジニアリングの手により、3S-G+ターボは極限と思えるチューニングが行われている。ピストンは耐久性、信頼性の両面から特注マーレー。タービンはK27を使用して、インタークーラーはレーシングカーに使われているエンゲルアライヒ。キャブレーションはルーカスメカニカルインジェクション。当然のことのようにドライサンプ化され、テストベンチで現在350psを得ている。

このようにレーシングカー、いや居住性と耐久性を両立させていることから、Cカー作りよりも大変だったかもしれない。谷田部のストレートを走り抜ける超高速のブルーのロケットMR2を見る日が楽しみだ。

【マッド杉山・歓喜の声】

回を重ねるごとに力作が増えていて、今回は大賞を取れるとは思っていなかったので、ビックリしちゃった。ボクが昔からいつか実現したいと思っていたマシンを、ヴィンミューレとラングヘックの2台で表現することができ、その2台が連続してエイサイティングカーショーのコンテストでNo.1に輝いて、最高の気持ちだね。予算的にキビシイ中でよくここまで作れたと、ボクも充実感とテレくささでいっぱいです。谷田部での走行を楽しみにしていてくださいね!

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凄い出来上がりで、やはり大賞を受賞! 後のマッドハウス製作マシンの基礎的なものがここに詰まっているようなマシンです。さて次回その3では、この凄いマシンのメカニズムチェックをお届けいたします。

[OPTION 1985年3月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)

【関連記事】

奇才・マッド杉山の「MR2最高速スペシャルマシン」って何だ? その1【OPTION 1985年2月号より】
https://clicccar.com/2018/05/07/584716/

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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