「もう12年も旅して、飽きるでしょ?」と聞かれることもありますが、地元であっても未だ知らない名所があるものです。ふだん通らない道を走ってみるだけでも、様々な発見があります。
その1【歴史をめぐる】
筆者の地元、熊本県菊池川流域〜福岡県・筑紫平野は、古墳をはじめ遺跡の宝庫。何日もかけて遺跡・史跡めぐりをしました。写真の【切通しの石仏群】は筆者の地元・菊池市のお隣、山鹿市菊鹿町にあります。クルマで30分程度の場所であるにも関わらず、今春までまったく知りませんでした。
作られた当初(大正3年)は八十八体の石仏があったそうですが、現在は三十体ほどしか残っていません。もっと古い時代からの道が近くを通っているのに何故わざわざ巨大な岩山(岩隈山)を切り崩して道を作ったのかも謎です。
横穴墓群、古墳群、城跡…。縄文・弥生時代など遠い時代、自分とはまったく関係ないことのようですが連綿と現代まで繋がっているのだなぁと感慨にふけった春でした。
その2【神社めぐり】
福岡県東峰村にある宝珠山 岩屋神社で毎年4月の第2土・日に執り行われる【岩屋まつり】、土曜日は雨で断念しましたが、メインイベントでもある日曜日の紫橙(さいとう)大護摩供養・火渡り神事を見ることができました。
国指定重要文化財・岩屋神社本殿は、権現岩(写真)の窪みを利用して造られた彦山山岳修行の第3窟。およそ1500年前の継体天皇25年(521)、中国・北魏からの渡来僧「善正」が修行場「日子山(ひこさん/彦山・英彦山)」を開山した翌年に『宝珠山宝泉寺大宝院』として開かれたのがはじまりとされています。
宝珠山には、欽明天皇8年(547)、突然の霊光とともに空から「星の玉」(つまり隕石?)が降って来たという伝説があり、その〝宝珠石〟は今も本殿内に祀られています。
鎖場に次ぐ鎖場を超えて奥社への修験道も踏破したし、山が好きで山岳信仰に惹かれる筆者にとって多いに意義ある1日となりました。
神社が好きな理由のひとつには、境内の自然がゆたかであることも大きいです。
写真は山形県西村山郡朝日町にある浮島(浮嶋)稲荷神社。神池・大沼は、天武帝9年(681)、山岳修験者である役小角(えんのおづぬ)によって発見されたと伝えられています。大小様々な「浮島」は風もないのに動くといわれており、とても神秘的な場所です。大沼の散策路は一周約30分、筆者が訪れた10月下旬は紅葉も素晴らしかったです。
記憶に新しい、三峯神社の「白」い「氣」守りをいただいたことや、出雲大社で迎えた「神在月」なども特別な思い出です。
その3【野生動物との出逢い】
かれこれ20回は訪れている北海道ですが、さすが「でっかいどう」と称されるだけあって未踏の地がまだまだあります。サクラマスが遡上することで有名な「さくらの滝」(北海道斜里郡清里町)も、そのひとつでした。サクラマスの遡上シーズンは7〜8月中旬。お盆休み頃が最後のチャンスです。
今年は台風の影響で巨大な倒木が行く手を阻み、こんな高さの滝を遡上するなんて無理ではないかと固唾をのんで見守りました。結局、上り切るところは見られなかったのですが、何度もジャンプし滝に挑み続ける姿に感動しました。
然別風穴地帯(北海道河東郡鹿追町)でナキウサギを間近に見ることができたのもラッキーでした。ナキウサギは氷河期の生き残りといわれ、岩場を住処としています。警戒心が強く、すばしっこいので鳴き声は聞こえても姿を捉えるのは至難の業。毎年のように大雪山を登山していますが一度も見たことがありませんでした。初めてカメラにバッチリ収めることができて、嬉しいというよりも呆然としてしまいました(笑)
然別湖には観光遊覧船があり、カヌー、カヤックなどアウトドア体験も豊富です。時間と体力があれば東雲湖トレッキングも楽しめますし、【ホテル風水】の展望大浴場で日帰り入浴もできます(1,000円)。
北海道を代表する野生動物といえばキタキツネ、エゾシカ、そしてヒグマです。過去、何度かヒグマを見たことがありますが、今年は知床ウトロの岩尾別川でヒグマがサケを補食し、そのおこぼれを狙ってオジロワシ親子が群がるシーンを見ることができました!(カラスもいますが…) しかし、遠すぎたうえに三脚を持っていなかったので、写真がボケてしまっているのが何とも悔しい。
その4【金比羅山火口展望台(洞爺湖展望台)】
洞爺湖および有珠山を中心として伊達市・豊浦町・壮瞥町・洞爺湖町を含む、日本で最初の世界ジオパーク【洞爺湖有珠山ジオパーク】。
西山山麓火口には【西山山麓火口散策路】と【金比羅火口災害遺構散策路】という2つの散策コースがあるのですが、実はこの2つの散策路の間に【金比羅山火口展望台(洞爺湖展望台)】が存在するにも関わらず観光パンフレットには載っていません。知らずに登って来る観光客も多く(筆者もその一人)、前述の2ヶ所が無料なのに対しこちらは有料であることからトラブルにもなりかねず、改善してほしいところです。
金比羅山火口展望台の料金は1,000円と少々値が張りましたが、クルマ1台につき5名まで同料金なのでグループで見に行けば安く感じます。金比羅山火口の火口湖もバッチリ見えるし、眼下には洞爺湖、湖の向こうには羊蹄山までも一望できる絶好のロケーションでした。洞爺湖も幾度となく訪れていますが、隠れスポットを見つけた喜びはひとしおです。
管理人さんに交渉して車中泊させていただけたので、洞爺湖温泉街の夜景や花火も満喫できました。この日は薄曇りなうえ満月だったので星空は見えなかったのが残念。来年にはキャンプ場としてのオープンを予定しているそうなので、また利用したいです。
その5【湯西川ダム ダックツアー】
ふだんは自然が好きで観光地やレジャー施設などにはあまり行かないのですが、水陸両用バスでゆく【ダックツアー】にはハマりました!
栃木県日光市湯西川温泉地区の観光センター【湯西川水の郷】から発着、湯西川ダムを見学したあと水陸両用バスに乗り換えダム湖を遊覧(ダム見学とダム湖遊覧の順番は、便により交互になっています)。乗り物好きには「水陸両用バス」というだけでテンション上がりますね。
ダックツアーは東京・お台場、大阪、長野・諏訪湖、長崎・ハウステンボスでも運行しています。来年は、お台場ダックツアーも体験してみたい!
というわけで、次回は「2018年に行ってみたい場所ベスト5」をお送りします。
(松本しう周己)
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