4冠王者アラン・プロストから見たルイス・ハミルトンの強さの秘密とは?【F1速報×F1女子~ブラジルGP号~】

11月16日(木)に「F1速報ブラジルGP号」が発売されました。

今号はルイス・ハミルトン祭り! 巻頭特集「ルイス・ハミルトン 最強王者の渇望」では、ファン-マヌエル・ファンジオ、アラン・プロスト、ミハエル・シューマッハー、セバスチャン・ベッテルに続くF1史上5人目の4回目のワールドチャンピオンを決めたハミルトンを、全13ページに渡って徹底分析しています。

中でも興味深かったのは、誰もが口を揃えて「今シーズンのハミルトンは別人のように生まれ変わった」と話していること。彼らをそう思わせた理由は一体何なのでしょうか? 本誌から少しだけ紹介しちゃいます。

■チーフレースストラテジストのジェームス・バレスが証言

「今季のメルセデスは、まるでふたりの新しいドライバーと過ごしたような1年だった。ひとりはバルテリ(ボッタス)で、もうひとりは“ニュー”ルイス(ハミルトン)だ」と話すのは、メルセデス チーフレースストラテジストのジェームス・バレス。

「まず、エンジニアたちとの仕事を大切にするようになった。今まではひとたびマシンを降りると、コクピットのなかで行っていたような努力を見せるようなことはほとんどなかった。ドライバーの仕事はマシンを速く走らせるだけ。どのようにすれば、マシンが速くなるのかを考えるのはエンジニアの仕事と割り切っていたところがあったんだ。それが、今季はエンジニアとのコミュニケーションを大切にするようになった」

バレスがハミルトンの変化に気がついたのは、今年2月のウインターテストの時だったと言います。

「今までのルイスはテストになると違う人間か……と思うほど人が変わっていた。いわゆる速いけど、テストが好きじゃないタイプの代表的なドライバーだった。16年シーズン終了後のアブダビテストでは『体調が悪くなった』と言って、2周走っただけで帰ってしまったくらい。ところが、今年は別人だった。ウインターテストではまったく不満を言うことなく、チームが用意したプログラムを淡々とこなしていたよ」

■Interview with Alain Prost

特集には、現役時代「プロフェッサー」と称され4回チャンピオンを獲得したアラン・プロストも登場! 超一流ドライバーだったからこそ分かるハミルトンの真のすごさをたっぷりと語ってくれています。

「F1に上がって最初のうちは、他の誰もがそうであるように自分の実力を認めさせようと必死だった。最初のタイトルを獲った後も、その必死さはしばらく続いた。それはハングリー精神でもあったわけだけど、コース上でもその外でもしばしば極端なかたちで出てしまった。しかし、メルセデスで2度目のタイトルを獲ったあたりから、ルイスは確実に変わった。周囲に認められ、それとともに私生活でも安定した。F1とはまったく関係のない人々と親交を結ぶのは、おそらく世界チャンピオンじゃない自分も認められたかったからだろう。現時点でのルイスの精神状態は、F1ドライバーにとってのひとつの理想に近いんじゃないかな」

F1ドライバーは速く走ること以外にも「エンジニアやメカニックをその気にさせる」ことも重要な役割のひとつと考えるプロスト。ハミルトンをはじめ複数のタイトルを獲得したチャンピオン達について以下のように述べています。

「彼らは、スタッフのモチベーションを長い期間にわたって最大限に引き出してきた。そのなかでは、たとえばフェルナンド(アロンソ)は政治的な動きが多いとか、批判ばかりするとか非難されている。しかし、スタッフを引っ張る能力においてだけでも、彼は依然として偉大な世界チャンピオンだよ。ルイス(ハミルトン)にしても、彼の日常的な振る舞いやハリウッドセレブたちとの付き合いが批判されたよね。でも、ひとたびサーキットに来れば、誰もが彼に引き寄せられる。レース週末のルイスはまるで別人だ」

この記事の著者

yuri 近影

yuri

2006年のF1日本GPを観に行ってから、どっぷりF1&ジェンソン・バトンにはまってしまったF1女子。F1が大好きですが、車の運転は下手(小林編集長お墨付き)、メカニズムも苦手、だけどドライバーの知識と愛だけは自信あり! もっと気軽にF1を楽しんでもらいたい、好きになってもらいたいという気持ちで執筆活動をしています。
趣味はバトンの追っかけと、F1海外観戦。現在は新米ママとして子育てに奮闘しながら、のんびり記事を更新中。あたたかーい目で見守っていただけると嬉しいです。
続きを見る
閉じる