自動車のパーツを背負ったり持ち上げたり……。決してチカラ自慢大会ではありません。
エントリー1回につき2名での参加が可能で、20フィートの距離を落とさずに運べれば、そのパーツをゲットできるというルールのセールが、アメリカ合衆国コロラド州の州都デンバーにある「U-Pull-&-Pay」で行われています。
「詰め放題で500円!」といったバーゲンセールをディスカウント・スーパーマーケットや、日本でも見かけますが、その自動車版とでもいうような一風変わったもの。U-Pull-&-Payはパーツヤード、日本では解体屋というほうがなじみがいいでしょうか。セールの名前は「PULL-A-THON」で、59ドル99セントを払えば(6,780円。1ドル113円で計算 別途入場料あり)、持つことができたパーツはすべて持って帰ってイイというものです。
『All You Can Carry For $59.99 sale at U-Pull-&-Pay Denver』という動画でその様子が紹介されています。
パーツを運ぶのにロープを使うとは考えたな、というのは誤り。あくまでも持っているものはパーツなので、このロープのようにみえるものもシートベルトです。
持ち上げ方も人それぞれ。1人持ちの場合、このアクスルをゲットした参加者のように「バーベル型」が成功率が高いようです。
こちらも「バーベル型」。シャフトに通したタイヤ&ホイールを肩にかけたゴムチューブを支えに運びます。さらにスタビライザーバーもおまけ! シートベルトはもはや運搬用の「ロープ」という認識でしょうか。
「背負子(しょいこ)型」では、シートがその役割を担います。こちらはシートは持って帰っても使わないんじゃないというレベルの積み方。積み荷にはエンジンブロックをちらっと見えます。
一方こちらはシートそのものも目的っぽい「背負子型」、運転席・助手席セットにセンターコンソールを背負っています。
「背負子型」でも無理をせず、分をわきまえた「二宮金次郎型」も見受けられます。とはいえトルコン付きのミッションはそれなりの重さ。それを背負う姿は自ら苦行を引き受ける僧人にも見えます。
2人持ちでは「さしにない型」がオーソドックスでしょう。参勤交代で使われた旅カゴのように前後で棒をかついで、大切にエンジンを運びます。
腕を高く持ちあげる「ビクトリー型」では、狙ったパーツの価値を考えれば、これが運べれば十分です! 的なウインウインの雰囲気も感じられます。
20フィート。近そうで遠いその道のりは、約6.1メートル、海上コンテナの小さい方の長さです。その由来も感じさせる楽しいイベントですね。
(古川教夫)