「すべて本」は、フルモデルチェンジをした新型車の情報誌・・・とは限らないんですよね。既存車種でも、革新的な新技術や機能が追加されると、すべて本がヒョッコリ出版されて、濃密な技術情報を提供してくれたりします。
今回も「スカイアクティブのすべて」といえるくらいタップリと、しかも各部門の責任者からの解説という、量質ともに充実した内容になっています。
スカイアクティブについて見てみると、はじめに専務の金澤さんが「ZOOM-ZOOMであるための手段がスカイアクティブなのです!」と語っています。
つまり、マツダではあくまで「走りの歓び」が前提で、環境性能を備えたクルマを造るための道具が「スカイアクティブ」であるとの事。なるほど~。
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ちなみに、日本人はビジョン戦略が苦手ですよね。マツダが「ビジョン立案の戦略手法」を使い慣れているのは、ひょっとしたらフォードの置き土産かもしれないと、ふと感じました。
次にエンジン部門の人見さん、まさにスカイアクティブの立役者といえる人です。
何しろエンジンのエネルギー効率を、常識にとらわれずに理詰めで追究していき、「高・圧縮比世界一のガソリンエンジン」と「低・圧縮比世界一のディーゼルエンジン」を同時に開発したのですから、素晴らしい!
(*^▽^)/★*☆♪
しかも今回のデミオのガソリンエンジンはまだまだ序の口で、更なる燃費向上が見込めるというのですから、本当に凄い!
技術の王道を行って、ブレークスルーを成し遂げたのですから、そのスケールの大きさに圧倒されます。
さてここから先は、今後五ヵ年計画で、全車種に順次展開されていくスカイアクティブ技術の紹介になります。
まずトランスミッションを見てみましょう。マツダは、極低速でギクシャクしがちなDCTではなく、トルコン付きの6速ATを選びました。
ここでも常識にとらわれず、ATなのにトルコンを使わない全域ロックアップを前提として開発したそうです。逆にトルコンは、ロックアップが苦手な領域に特化させた結果、かさばるトルコンを小さくでき、高効率で極低速でも滑らかな小型6速ATの開発に成功したというのですから、まさに「目からウロコ」です。
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もちろんMTも小型化!FFでもロードスターのような軽快さを狙って開発したそうですから期待が持てます。
ボディも、スカイアクティブ構想の中であるべき姿を追い求め、骨格のストレート化と連続化を徹底した結果、高剛性と軽量化を達成したそうです。
そしてシャシーも、サブフレームとボディ間のブッシュゴムをなくすなど、大胆に新設計できたとの事。
どうやら「スカイアクティブ」とは、個々の技術の総称にとどまらず、各パートがお互いに連携しあって、個別最適と全体最適を高い次元で両立する「横通しの開発活動」を意味する様にも感じられました。
もはや断言できます。これで、良いクルマが出来ない訳がありません!
(`・ω´・)b
あとは、クルマのサイズとパッケージングとデザインですね~。
(拓波幸 としひろ)