1990年1月、日産が同社の量販モデル(当時)であった「サニー」をフルモデルチェンジ、そのバリエーションとして生み出されたのが「(サニー)NXクーペ」です。
車台やパワートレイン(1.5~1.8リッターエンジン)はサニーと共通ですが、サニーというベーシックモデルからは想像がつかないほどユニークなスタイリングを与えらたスペシャリティクーペ。北米で「セクレタリーカー」と呼ばれる小型クーペに仕上げられました。
このスタイリングが生まれた理由は、メインターゲットとなっていたのは北米市場のニーズに合わせたから。デザイン自体もカルフォルニアのスタジオが担当したということです。
グリルレスのフロントマスクやサイドウインドウなど「フェアレディZ(Z32 型)」の妹分といったムードも持っています。そもそもNXという名前は、ZX(フェアレディZ)、SX(日本では180SX)といったスペシャリティクーペの流れにあることを示していますから、それも当然です。
写真の個体にも装着されているTバールーフが設定されていたのも、そうしたキャラクターをアピールしていたといえるのではないでしょうか。
デビュー当時のテレビCMで流れた「タイムマシンかもしれない。」というキャッチコピーが、スタイリングとマッチしていて話題になったことも記憶に残る一台です。
(山本晋也)