テスラが航続距離613kmを実現する100kWh大型バッテリーを発売。気になる今後のEVバッテリーの行方

EVのテスラ・モーターズは、従来の90kWhより大型で同社では最大となる100kWhバッテリーサイズを発売すると発表しました。

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この100kWhバッテリーを搭載したModel S P100Dにルーディクラス モードのソフトをインストールした場合、推定航続距離が613km(EUサイクル)となり、EV市販車として初めて航続距離600kmを越えることになります。

また、その車両の0-100km/h加速タイムは2.7秒となり、ラ フェラーリやポルシェ918スパイダー並の加速性能を発揮します。

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テスラでは、新発売の100kWhバッテリーをSUVタイプのModel Xにも搭載し、納車前のModel S P90Dルーディクラス モードに、1,152,000円(消費税込み)でアップグレード可能であるとしています。

このように90kWhバッテリーと換装可能であることから、100kWhのバッテリー・パックの外形寸法は変わらないとすると、テスラはどうのような方法でバッテリーを大容量化したのでしょうか?テスラでは、どのように大容量化に成功したかについては、コメントしていません。

考えられるのは、①テスラが採用している直径18mm×65mmの単3乾電池を大きくしたような汎用18650型リチウム・イオン・バッテリー・セルの搭載個数を増加する、②18650型バッテリー・セルを大容量化するという2つの方法です。

①の搭載個数を増やす方法については、情報によるとテスラのバッテリー・パックには搭載されているセルの間に、冷却のための隙間が設けられているので、セルの間に隔てられている隙間を狭くすることで大容量化が可能です。

また、②のセル自体の容量の大容量化については、今年1月にテスラに18650型バッテリー・セルを納入している日本のパナソニックが、16億ドル(1900億円)を投資して、ネバダ州にテスラ向けのバッテリー工場を建設したことから、パナソニックが18650型セルの大容量化に成功した可能性も考えられます。

EV用のバッテリー・パックについては、日産「リーフ」のようにEV専用のセルを使うのが多数派で、汎用規格の18690型セルを採用しているのは現在のところテスラだけです。

一方、最近になって日産は「リーフ」用のバッテリーを製造している子会社を売却して、バッテリー・セルを市場から購入する方向へ転換することを発表しました。

今後EVのバッテリーは、日産「リーフ」のように専用セルを使う方がよいのか、それともテスラのように汎用セルを使うのが得策なのか、どのように進化してゆくのかに注目が集まっています。

(山内 博・画像:テスラ・モーターズ)