こんなの全部見てられるかいっ!
ドイツのカメラメーカーであるライカが「史上もっとも退屈な広告?」という動画をアップしました。この内容がスゴいのよ。だって、45分間ほぼアルミフレームを手作業で磨いてるだけ。それだけの動画です。ところが……そのナレーションがなんとも挑発的。
「ライカは94gのフレームを作るために、1.2kgのアルミブロックから削り出します。頑丈にできるから。興味ない? じゃあ見るのを止めてもらってけっこう」そんなナレーションが入り、それでももうちょっと見ていると「おや、まだ見ているの? ほう。あなたは極限の職人技をちゃんと評価できるようだね」などといっています。くぅー、なんか悔やしい! こっちは、さっさと早送りして最後だけ見ようと思ってるのに。
でもね、そんなに面白い動画じゃないですよ。ホントにひたすら手作業で磨いてるだけ。私も全部は見ませんでした。でもね、心意気は伝わってきますよ。ライカは職人芸で作ってるんだぞ。この方法は時間はかかるし、コストもかかるけど、最高の方法なんだぞ、ってね。ちょっとライカ欲しくなりますね。退屈な内容を思いっきり逆手にとった見事なCMです。
でもね、これって唯一絶対の方法じゃない。日本の近代産業はむしろ、これとは別の方向、オートメーションでいかにコストを下げて品質の高いものを大量生産するか、という方向でやってきてると思うんです。それはそれで、高い志や心意気がある。イノベーションもロマンもある。製品単体の絶対的な魅力ではライカにかなわない面もあるかもしれないけど、産業全体を考えたら、日本的な方法だって否定されるものではないんじゃないかな。そんなことも考えました。
(まめ蔵)