パシフィコ横浜で開催されている「人とくるまのテクノロジー展2011」にて、日本国内で初公開されたGMのシボレー・ボルト。このクルマを、GMは”E-REV:Extended Range Electric Vehicle(航続距離延長型電気自動車)”と呼んでいます。
電気自動車の一種と主張しているわけです。
電気自動車というと航続距離がショートなのが弱点というイメージ。日産リーフのカタログ値は200kmでしかありません。しかし、このシボレー・ボルトの航続可能距離はカタログ値で約600km!
それでいてバッテリーの電力量は16kWhと日本のEVでいうと三菱アイ・ミーブと同等。
どんな秘密が、このロングな航続距離を実現しているのか?
その理由は、ご存知のとおり、1.4Lのガソリンエンジンを積んで、それで発電機を回しているから。
コンセントにつないで充電したバッテリーの電気を使い果たしたあとは発電しながら電気モーターで走ることができるというのが、Extended Range Electric Vehicleというわけです。
でもエンジンを積んでいるのにEV(電気自動車)というのはおかしくない?
はい、そのとおり。
複数の動力源を組み合わせているという意味ではハイブリッドカーに分類されるべきです。
そして、エンジンで発電機を回して、モーターでタイヤを駆動するというのは、ハイブリッドの中でもシリーズ式と呼ばれるもの。
ちなみに、エンジンとモーターの両方でタイヤを駆動するシステムをパラレル式ハイブリッドといって、日本車でいうとインサイトなどのホンダIMAが、これにあたります。
そしてプリウスに代表されるトヨタ式ハイブリッドは、シリーズパラレル式といって、エンジンの出力を発電とタイヤの直接駆動とに使い分けているのが特徴。
ではGMのシボレー・ボルトはシリーズ式ハイブリッドと分類していいのか、というとそれも微妙。
VOLTECと名付けられた電動駆動システムは2つのモーターとひとつのエンジンの使用状況によって作動モードが4つにわけられますが、そのうちのひとつではエンジンがタイヤを駆動しているようにみえます。
それが、こちらの状態。
右下のエンジンから発電駆動用モーターを介して、タイヤまで繋がっているのが確認できるでしょう。エンジン出力のすべてを発電で消費しているのでタイヤにはエンジン出力は伝わっていないという見方もできるかもしれませんが、エンジンとタイヤが繋がっているのには変わりありません。
ほとんどにおいてはシリーズ式の状態ですが、このモードがあることを考慮するとシボレー・ボルトはシリーズパラレル式ハイブリッドと分類するのが適当といえそう。コンセントからの充電機能もありますから、より細かくいうなら「シリーズパラレル式のプラグインハイブリッド」と分類すべきでしょう。
(山本晋也)