東京モーターショーといえば、展示車両もさることながら、毎回発表されるポスターも気になるところです。今回を含む歴代43枚のポスターには、人・社会とクルマとの関わりや、技術や夢といった様々なテーマが描かれています。想いを巡らせながら眺めていたところ、ポスターに7つのデザイントレンドがあることに気づきました。そこでここでは、東モの歴代ポスターの7つのデザイン傾向と、2枚を対比させながら時代背景を振り返ってみたいと思います。
【1】上下左右からの展望
デザイントレンドのトップバッターは「上下・左右からの展望」、クルマの交通社会を俯瞰するテーマ感です。第1回1954年のポスターでは、夢の高速道路を疾走するモータリゼーションの様子が描かれています。第40回2007年では、個性豊かなクルマが50km/hの一般道を走る日常を表現しており、人とクルマの距離がとても近く感じられるデザインとなっています。
【2】大きい丸
実は、丸をモチーフにしたポスターは非常に多く、こちらは「大きい丸」をテーマにしたものです。大衆車パブリカが登場した第7回1960年は、黒いタイヤをドーンと真ん中に配置。わかりやすいデザインですよね。第31回1995年では、勢いよくデザインされた幾重のドーナッツを配置。ミニバンやスポーツカー、ハイブリッドカー等の多彩なジャンルを表現しているようです。
【3】小さい丸がたくさん
丸系では「小さい丸がたくさん」あるポスターも多く揃っています。第5回1958年は、白丸を横線・三角・四角で繋げて、2輪・3輪・4輪を表現したデザインを採用。当時は3輪車もありましたから、なるほど納得の一枚です。第33回1999年では、商用車を分離して、乗用車&2輪専門で開かれたショーとなり、赤丸は展示車両の存在感を表現しているよう。コペンが小粒ながら個性を発揮していましたね。
【4】ひとりの人
人をテーマにしたポスターも多いですね。「ひとりの人」をテーマにした第6回1959年のポスターの女性からは、「あなたの素敵なクルマに乗せてくださいな」というアイコンタクトを感じたりして・・・。第22回1977年は人物実写のポスターで、70年代の若者のヤンチャな反骨精神と、当時急拡大していた日本車輸出の勢いがうかがえます。
デザイントレンドで歴代ポスターを振り返ると、時代の空気感を感じることが出来ると思います。引き続き、後編に続きます。
(拓波幸としひろ)