ここ最近、国産メーカーのワークスチューナーによるコンプリートカーが多く登場しています。昔のようにマニアックでコアユーザー向けのモデルではなく、ミニバンやコンパクトカーをベースにスポーツ仕立てをしたモデルが多く出ているのは、多くの人に「走る楽しさ」を提供すると共に、「アイツとはちょっと違う…」という個性を演出したい…という思いもあるのでしょう。
このワークスコンプリートカーの中で、最近熱心なのは「NISMO」。大森から鶴見に本社を移転し、2月下旬に行なわれたお披露目会で、日本だけではなくグローバル展開を行なうという新NISMOのコンプリートカー戦略を発表。また、日産のC・ゴーン社長から「GT-R NISMOは1年以内に発売します」とサプライズが出てしまったほど。
すでに、ジュークNISMO、フェアレディZ NISMO、マーチNISMOと発表されました(マーチNISMOの発売は12月)が、やはり本命はGT-R NISMOでしょう。
ちなみに、NISMOのコンプリートカーはすべて鶴見で開発されているわけではありません。NISMOブランドのプロデュースは日産自動車が担当しており、各モデルを開発する上で、最適な技術や人材/パートナーによって開発されるのです。ジュークNISMOは日産自動車による開発、フェアレディZ NISMOとマーチNISMOはオーテックによる開発となっています。
では、1年後に登場が決まっているGT-R NISMOはどのように開発されていくのでしょうか?GT-Rベースのレーシングカー開発を行なわれている鶴見、と考えるのが普通だと思いますが、“最適”な…と考えるとどうでしょう?
そこで浮上してくるのがこのお方…。「GT-Rの全てを理解している」と言えば、3月に退職した、ミスターGT-Rと呼ばれる水野和敏さんとテストドライバーを務めた鈴木利男さん。水野さんの頭の中には「R35 GT-Rをモデルライフ中にどのように進化/熟成をさせていくか?」という構想があったはずです。その想いをGT-R NISMOという形で表現する…というストーリーにも違和感はないでしょう。「ニッポンのモノ作り」にこだわる水野さんらしい姿と言えませんか?
ちなみに、鈴木利男さんのお店「ノルドリンク」は、GT-R 特約サービス工場のひとつであると同時に、各種パーツの開発・販売も行なっているため、NISMOがタッグを組むパートナーとしても問題はないはずです。
何はともあれ、2007年のデビュー以来、毎年進化し我々を驚かせてきたGT-R。NISMOがどのようなエッセンス加えるのか? 非常に気になる部分だと思います。
(大地 颯人)