ブルームバーグが伝えるところによると、NHTSA(米運輸省道路交通安全局)が7日、歩行者の安全の為、HVやEV車に最低限の音の発生を義務付ける規則案を公表したそうです。
同案は時速18マイル(約29㎞/h)未満での走行時に歩行者や自転車に乗っている人が車の接近に気付くことができる音を出すよう義務付けるもの。
同規制は60日間の意見募集手続きを経て施行されるようで、NHTSAによると、外部スピーカーを装備するコストは1台当たり約35ドルで、業界全体では年間約2500万ドル(約21億9000万円)となる見通しと言います。
ちなみに日本では国土交通省が2010年1月に纏めたガイドラインに即して、トヨタ自動車が「車両接近通報装置」を開発、同年8月に3代目プリウスにオプション設定、現在では既存のHV、PHV全車に標準装備されているようです。
国土交通省はEV走行でも車速が20km/h以上になればタイヤと路面の接触による音が増加する為、一般エンジン車と同等の気付き易さになるとしており、NHTSAとほぼ同見解。
「接近通報音」はモーター音を模した音で、車両の走行状態を連想させるもの。車速が25㎞/hを超えると自動的に消音。一時停止スイッチによるOFFも可能で、HVシステム再起動時には自動的に発音状態に戻る仕組みになっています。
ただ、ユーザーが普段スイッチを切っている? のか、低速で近付いて来たHV車に気付かず相変わらず「ヒヤッ」とするケースが多いのが実情ではないでしょうか。停車中のクルマが無音のままいきなり動き出すような場合も結構驚かされます。
米国で擬音発生が義務付けになれば日本でも同様の動きが有るかもしれません。
一方、ドライバーの観点では低速時に擬音を流し続けるよりも、発進時や細幅道路などで近傍に歩行者がいる場合にのみ、「ポーン♪」というような電子音で廻りに注意喚起できる方が有りがたいような気も。この辺りは再考余地が有りそうです。
擬音キャンセル・スイッチの代わりにONスイッチをステアリングに設置すればそれも可能に。
モーターによる静かなEVモード走行がHV車のウリの一つですが、今後もその数がどんどん増えて、更にはEV車が本格的に普及する頃までにはいずれにしても安全面と運転時の快適性両立の観点でもう一歩踏み込んだ実用的な対策が必要になりそうです。
■HV車等の静音性対策検討委員会資料(国土交通省 関連資料)
http://www.mlit.go.jp/common/000057778.pdf
■HV車等の静音性対策ガイドライン(国土交通省 関連資料)
http://www.mlit.go.jp/common/000057788.pdf
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