9月29日に開幕予定のパリ・モーターショー2012に向けて、欧州各メーカーが一斉に新型車を発表予定ですが、足元では折からの景気低迷のあおりで各社とも経営面でかなり厳しい舵取りを強いられているようです。
ACEA(欧州自動車工業会)が17日に公表した8月の欧州全域(EU+EFTA)の新車販売状況によると、総販売台数は72.2万台(前年同月比-8.5%)と、11か月連続で前年実績を下回っています。
8月度販売台数のベスト10は以下となっており、上位大手にも大幅な販売減が目立つ状況。
ランキング メーカー 8月販売台数(前年同期比)
1位 VWグループ(Audi含む) 20.4万台(+1.6%)
2位 PSA(プジョー/シトロエン) 8.16万台(-12.3%)
3位 ルノー 6.17万台(-13.0%)
4位 GM(オペル/シヴォレー) 5.36万台(-17.7%)
5位 FORD 4.34万台(-28.7%)
6位 BMW(MINI含む) 4.29万台(-12.4%)
7位 ダイムラー(メルセデス/スマート) 3.95万台(-0.3%)
8位 FIAT(FIAT/アルファロメオ他) 3.77万台(-17.7%)
9位 TOYOTA (Lexus含む) 3.22万台(-5.5%)
10位 HYUNDAI 2.65万台(-3.3%)
(11位) 日産 2.27万台(-4.8%)
ちなみに欧州全域の2012年1-8月累積販売台数を「見える化」すると、飽和状態の欧州市場の中で各社が熾烈なシェア争いを繰り広げている構図が垣間見えて来ます。
好調な米・アジア市場のみならず、足元の欧州でも着実に成長を続けるVWグループとは対照的に、2位のPSAプジョーは新聞報道などによるとフランス国内で1万人規模の人員削減や工場閉鎖を計画しているようで、GM傘下のオペルでも事務部門で1,000人を削減予定とか。更に今後工場閉鎖に伴い、2万人以上の人員削減が発生するようです。
またFIATは既に昨年イタリアの工場を1箇所閉鎖済みで1400人を削減。今後、傘下企業でも5工場を閉鎖予定で1,000人以上削減する見通しと言います。こうした状況はFORDも同様。
これらを合わせると2017年までに欧州で16箇所の工場が閉鎖され、約4万人規模の解雇が発生しそうな勢い。欧州における自動車市場の急激な縮小により、各カーメーカーはリソース過剰に伴う固定費問題に直面しており、アジア・太平洋地域に新たな活路を見出さざる得ない状況になっているようです。
■ACEA(欧州自動車工業会)
http://www.acea.be/