新しいマツダ「ロードスター」は商品力大幅アップ。だけど、990Sと悩ましい

■マイチェンしたマツダ・ロードスターの商品力は大幅にアップした

最新のマツダロードスター
最新のマツダロードスター

まず思ったのは、ガッツリと商品力が上がったなということ。

昨年秋にマイナーチェンジしたマツダ「ロードスター」ですが、商品としての魅力は大幅に高まりましたね。だって、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が設定されたんですよ。

ACCとは、高速道路でドライバーがアクセルを踏まなくても、車が自ら速度を調整してくれる便利機能。前を走る車に合わせて勝手に速度をコントロールしてくれるから、高速道路運転の疲労が劇的に改善される超便利アイテムです。

これが追加されたというだけで「買うなら絶対に最新型」と思いません?

新型ロードスターはパワーステアリング系が刷新された
新型ロードスターはパワーステアリング系が刷新された

このACCは「Sレザーパッケージ」や「RS」に標準装備。中には「そんな機能はロードスターには不要。だって重くなるし」というコアなロードスターファンもいるかもしれないけれど、どうやら購入者の大半はそうではなさそう。なぜなら、オプション設定となる「Sスペシャルパッケージ」での装着率が約9割にものぼるから。やっぱりあったほうがいいよね…。

ちなみに、ロードスターの新型はハンドリングも磨かれ、実際に試乗したうえで、走りの面でも「従来型より新型のほうがいい」といえるわけです。

●だけど、終売した「990S」のほうがいいと思える部分も

しかし、です。従来型の特別なモデル「990S」と比べてみると…ターンインは新型よりも990Sのほうがいいような気がします。これは気のせいなのか?

マツダロードスター
マツダロードスター

軽快でスッと素直に曲がりこんでいく。そんな990Sの感覚は、新型よりも上じゃないかなあ…。あくまでフィーリングは個人の感覚との相性なので、ボクがそう感じただけで周りの人は「そうじゃない」と思うかもしれない。だけど、少なくともボクはそう思ったんですよね。

そんなこともあって新型試乗後に、すでに生産と新車販売を終了している990Sの新古車(という表現は不適切で「登録済未使用車」ですね!)をネットで探しちゃったりして…。

なにっ、意外に高いぞ!(心の声)

●悲しいけれど、自分が軟弱になったことを実感

ただ、冷静に考えると990SはACCもなければシートヒーターもないし、ディスプレイオーディオだって非搭載(ナビはスマホでなんとかなるとしてもバックモニターは欲しい!)。

ついついそんなことを考えて、走りでは新型よりも好感を持っている990Sではなく、快適面も含めて装備充実の最新モデルを選ぼうとしているボク。自分でいうのもなんだけどずいぶんと軟弱者になったもんだ。大好きだったS15型シルビアを手放してからもうすぐ20年。歳をとるってこういうことなんだろうか。

商品性としては、ACCが付いたことは大きなトピック
商品性としては、ACCが付いたことは大きなトピック

というわけで、ロードスターの新型は商品力がマシマシだなと思うと同時に、やっぱり990Sのハンドリングは素敵だったと思う今日この頃。

そして「ACCとかシートヒーターがないからヤダ」なんて、すっかり煩悩にまみれた自分自身を感じた、新型ロードスター試乗でした。

工藤 貴宏

この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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