■欧州を中心に電動船外機や電動船内機、バッテリーなどを展開
マリン事業にも電動化の波が押し寄せる中、ヤマハ発動機も「マリン版CASE」戦略を推進しています。
同社はこのほど、マリン電動推進機メーカーであるTorqeedo社(トルキード)を傘下に持つドイツのDeutz社との間で、トルキード社の全株式を取得する株式売買契約を締結したと発表しました。
なお、同株式の取得は、競争法、そのほかの法令上必要なクリアランス、許認可などを取得することが前提になっています。
トルキード社はマリン電動領域のパイオニアで、電動船外機や電動船内機、バッテリー、各種アクセサリーなど豊富な製品を揃えています。ヨーロッパを中心に小型電動市場で販売を伸ばしていて、成長を続けているそう。
また、電動モーターやプロペラ、電源系統に関する多くの特許も保有していて、次世代環境技術の研究開発能力、量産設備、開発リソースを誇っています。
ヤマハ発動機によるトルキード社の買収は、先述したように、同社が中期経営戦略として推進するマリン版CASE戦略の「Electric」の分野での開発力強化が目的。
また、マリン業界でのカーボンニュートラル対応を加速させるとともに、早期の小型電動推進機ラインナップ構築にも寄与するとしています。
さらに、同社が長年培ってきた艇体設計技術、マリンエンジン技術などのノウハウを組み合わせることで、中型電動船外機にも相乗効果を生み出し、成長する電動推進船市場をリードする狙いが込められています。
ヤマハ発動機は、マリン版CASEの推進により、付加価値の高い魅力的な商品、サービスをユーザーに届けることで、長期ビジョンの「信頼性と豊かなマリンライフ」のもと、海の価値をさらに高める事業を実現する構えです。
(塚田勝弘)