最終戦もてぎで初優勝のJLOC ランボルギーニ GT3。シリーズチャンピオンは埼玉トヨペットGB GR Supra GTに決定【スーパーGT 2023 GT300】

■不安定な天候から激しい順位変動の序盤

2023年11月4日(土)・5日(日)に、栃木県・モビリティリゾートもてぎで開催された2023 AUTOBACS SUPER GT第8戦「MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL」。5日(日)には決勝レースが行われました。

スタートの様子
スタートの様子

チャンピオン争いが最終戦にもつれ込んだGT300クラス。ランキング2番手の2号車 muta Racing GR86 GTはチャンピオン必須条件のポールポジションを獲得しポールポジションのグリッドへと並びます。

決勝スタート直前、つまり予選終了後のドライバーズポイントはトップの52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)が70点、2番手のmuta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)が51点となります。

つまりmuta Racing GR86 GTが優勝した上で埼玉トヨペットGB GR Supra GTが11位以下のノーポイントでなければmuta Racing GR86 GTのチャンピオンはありません。

そんな激しい状況を抱えたまま始まっていく最終戦もてぎ。13時より栃木県警察のホンダNSXやレクサスLC500h、日産GT-Rなどのパトロールカー5台と白バイの先導による、交通安全啓発のパレードラップ、そしてフォーメーションラップの後にスタートしました。

スタート直後に軽い小雨が降りますが、ウェット宣言が出るほどではなく、各車スリックタイヤのままレースは続行します。

序盤のトップ争い
序盤のトップ争い

5周を過ぎたあたりからmuta Racing GR86 GTに88号車 JLOC ランボルギーニ GT3が迫っていき、トップ争いのバトルが激しさを増します。16周目の3コーナーでJLOC ランボルギーニ GT3がmuta Racing GR86 GTを抜いてついにトップに浮上。このポジションではチャンピオンが遠のくmuta Racing GR86 GT。いかにしてトップを取り戻していくのでしょう。

JLOC ランボルギーニ GT3がトップになった瞬間
JLOC ランボルギーニ GT3がトップになった瞬間

GT500での21周目あたりからGT300もピットインするマシンが出てきます。この時点で7位を走っていた埼玉トヨペットGB GR Supra GTは、なんとタイヤ無交換でピットタイムを稼ぎピットアウト。1ポイントでも獲ればチャンピオンですが、少しでも前に出てマージンを確保したいといったところなのでしょう。


●チャンピオンへ最後の賭けに出たmuta Racing GR86 GT。しかし成就ならず

ほぼ全車がピット作業を終えた頃、トップはそのままJLOC ランボルギーニ GT3。そして2番手に65号車 LEON PYRAMID AMG、3番手にmuta Racing GR86 GTと続きます。チャンピオン間近と目される埼玉トヨペットGB GR Supra GTは5番手争いのポジション。しかしここに絡むのは他に4台があり、油断をすればあっという間に9番手に落ちてしまう状況です。

中盤の5位争い
中盤の5位争い

GT500での44周目に1コーナーで360号車 RUNUP RIVAUX GT-RがGT500マシンと接触。RUNUP RIVAUX GT-Rはそのままコースへ復帰しますがGT500マシンは走行が出来ず、またパーツの散乱もあってフルコースイエロー(FCY)が導入されます。迅速に処理されたこともありFCYは2分ほどで解除され、レースへの大きな影響はありませんでした。

JLOC ランボルギーニ GT3
JLOC ランボルギーニ GT3

そしてレースが大きく動いたのがGT500でのラスト10周。なんと雨が本格的に降ってきます。GT500マシンでもピットでレインタイヤが用意され始め、いよいよどこかのチームがピットインを始めてくるであろうGT500でのラスト6周目、なんと3番手を走っていたmuta Racing GR86 GTがピットイン!レインタイヤに履き替えます。

このまま雨が降り続ければスリックタイヤでの走行が不可能になると読んだ大きな賭けに出たmuta Racing GR86 GTですが、その数周後には雨は小降りとなってラスト3周で上がってしまいます。つまり賭けが外れてしまうこととなります。

埼玉トヨペットGB GR Supra GT
埼玉トヨペットGB GR Supra GT

このピットインの最中にmuta Racing GR86 GTの前に出た埼玉トヨペットGB GR Supra GTは慎重に周回を重ねます。

JLOC ランボルギーニ GT3
JLOC ランボルギーニ GT3

そしてトップを快走するJLOC ランボルギーニ GT3は今シーズン初めてトップでチェッカーをくぐり優勝!元嶋佑弥選手はスーパーGT初優勝、GT500では9勝を誇る小暮卓史選手も実はGT300では初優勝となりました。

埼玉トヨペットGB GR Supra GTチャンピオンの瞬間
埼玉トヨペットGB GR Supra GTチャンピオンの瞬間

そして埼玉トヨペットGB GR Supra GTは7位でチェッカーをくぐりチャンピオン決定!スーパー耐久のST-Zクラスでもチャンピオンを獲得してのWチャンピオンとなります。

スーパー耐久とのWチャンピオンは2012年にエンドレスが達成していますが、ともにGRスープラという同一車種によるWチャンピオンは埼玉トヨペットGBが史上初となります。

チャンピオンの埼玉トヨペットGB GR Supra GTのドライバ-と監督
チャンピオンの埼玉トヨペットGB GR Supra GTのドライバ-と監督

最後の最後まで白熱したドラマを見せてくれたスーパーGT。来年はどんなドラマを見せてくれるのでしょうか?

●スーパーGT 2023第8戦(最終戦)もてぎ GT300決勝結果

順位 ゼッケン 車名 ドライバー 周回数
1 88 JLOC ランボルギーニ GT3 小暮 卓史、元嶋 佑弥 59
2 65 LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥、篠原 拓朗 59
3 6 DOBOT Audi R8 LMS 片山 義章、R.メリ・ムンタン、神 晴也 59
4 31 apr LC500h GT 嵯峨 宏紀、小高 一斗、根本 悠生 59
5 96 K-tunes RC F GT3 新田 守男、高木 真一 59
6 56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R J.P.デ・オリベイラ、名取 鉄平 59
7 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田 広樹、川合 孝汰、野中 誠太 59
8 18 UPGARAGE NSX GT3 小林 崇志、小出 峻 59
9 2 muta Racing GR86 GT 堤 優威、平良 響 59
10 61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人、山内 英輝 59
11 4 グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口 信輝、片岡 龍也 58
12 7 Studie BMW M4 荒 聖治、ブルーノ・スペングラー  58
13 11 GAINER TANAX GT-R 富田 竜一郎、石川 京侍 58
14 20 シェイドレーシング GR86 GT 平中 克幸、清水 英志郎 58
15 60 Syntium LMcorsa GR Supra GT 吉本 大樹、河野 駿佑 58
16 10 PONOS GAINER GT-R 安田 裕信、大草 りき 58
17 50 ANEST IWATA Racing RC F GT3 I.オオムラ・フラガ、古谷 悠河 58
18 5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号 冨林 勇佑、松井 孝允 58
19 9 PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG 阪口 良平、リアン・ジャトン 57
20 48 植毛ケーズフロンティア GT-R 井田 太陽、田中 優暉 56
21 87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3 松浦 孝亮、坂口 夏月 56
22 22 アールキューズ AMG GT3 和田 久、城内 政樹  56
23 30 apr GR86 GT 永井 宏明、織戸 学 51
24 60 RUNUP RIVAUX GT-R 青木 孝行、大滝 拓也 47
R 27 Yogibo NSX GT3 岩澤 優吾、伊東 黎明 40

(文:松永 和浩 /写真:吉見 幸夫)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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