松永 和浩 
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■ポールから3号車Zが快走してリードを拡げ、36号車も激戦を制して追い上げる
2023年11月4日（土）・5日（日）に、栃木県・モビリティリゾートもてぎで開催された2023 AUTOBACS SUPER GT第8戦「MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL」。5日（日）には決勝レースが行われました。
2023年のAUTOBACS SUPER GT第8戦、つまり最終戦となる もてぎは、チャンピオンが決まる大一番となります。
決勝スタート直前、つまり予選終了後のドライバーズポイントは、トップの36号車 au TOM’S GR Supra（坪井翔／宮田莉朋）が69ポイント、ランキング2位の3号車 Niterra MOTUL Z（千代勝正／高星明誠）は前日の予選でトップとなり、ポールポジションによる1ポイントを手に入れての63ポイントとなっています。
au TOM’S GR Supraは2位以上で自力チャンピオン、Niterra MOTUL Zは優勝した上でau TOM’S GR Supraが3位以下となればチャンピオン。また、16号車 ARTA MUGEN NSX-GT（福住仁嶺／大津弘樹）も優勝が最低条件でチャンピオンの可能性を残しますが、予選9位からとなり厳しい位置からのスタートとなります。
13時より栃木県警察のホンダNSXやレクサスLC500h、日産GT-Rなどのパトロールカー5台と白バイの先導による、交通安全啓発のパレードラップ、そしてフォーメーションラップの後にスタートしました。スタート直後に軽い小雨が降りますが、ウェット宣言が出るほどではなく、各車スリックタイヤのままレースは続行します。
ポールポジションからスタートしたNiterra MOTUL Zは序盤から2位以下を大きく引き離していき、2番手の17号車 Astemo NSX-GTに対し1周あたり1秒というアドヴァンテージを築いていきます。
Astemo NSX-GTと予選3位のau TOM’S GR Supraは、非常に近い位置で接戦となります。このポジションではチャンピオン獲得にならないau TOM’S GR Supraは、なんとしてもAstemo NSX-GTを抜こうとテール・トゥ・ノーズで20周以上もバトルを繰り返します。そのバトル、au TOM’S GR Supraが23周目のV字コーナーでようやくAstemo NSX-GTを抜き2番手となります。
しかし、トップのNiterra MOTUL Zはここでau TOM’S GR Supraの6秒以上も前におり、25周目に余裕でピットへ入ります。au TOM’S GR SupraとAstemo NSX-GTは26周目に、ほぼ同時にピットイン。給油とドライバー交代を行います。その翌周の27周目に23号車 MOTUL AUTECH Zがピットイン。このピットインが非常にうまくいったのか、なんとAstemo NSX-GTの前でレ-スに復帰することに成功します。
このピットインの前後でも小雨が降ったりやんだりという天候でしたが、多くのチームがスリックタイヤを選択してのレースとなりました。
●ラスト4周でNiterra MOTUL Zがコースアウト！ すべてが塗り替わった最終戦
Niterra MOTUL Zはau TOM’S GR Supraに対しては、35周を終えた時点でアドヴァンテージは12秒以上を築いています。GT500の全車がピット作業を終えた41周目に、Niterra MOTUL Zはトップとしてコースに君臨します。
しかし、この頃には雨も次第に強くなっており、Niterra MOTUL Zはペースが下がってきます。au TOM’S GR Supraとの差は徐々に詰まり始め、55周目までには7秒差にまでなっていました。
この7秒差を必死にキープし続けたトップのNiterra MOTUL Zに悲運が訪れたのは59周目。S字コーナーでウェット路面にタイヤを救われえたNiterra MOTUL Zは、グラベルに向かってコースアウト。ダメージは無かったものの、グラベルの砂によってタイヤが空転、自力でのコース復帰が出来ず、コースオフィシャルにマシンを押してもらってのレースに復帰となってしまいました。
これにより13位と大きく順位を落としてしまい、結局このレースはノーポイントで終わってしまうことになりました。
これにより、au TOM’S GR Supraは第7戦オートポリスに続く2連勝で今季通算3勝を挙げてチャンピオン獲得。2位はMOTUL AUTECH ZでミシュランタイヤGT500ラストレースを表彰台で締めくくりました。3位はAstemo NSX-GT、こちらもNSX-GTのラストレースを表彰台で締めくくり、GT500のミシュランタイヤとNSX-GTはともに有終の美を飾ることが出来ました。
この結果により2023年のシリーズタイトルは36号車 au TOM’S GR Supraの坪井翔／宮田莉朋となり、坪井選手は2021年に続く通算2回目の王座で、宮田選手は初のスーパーGTタイトルを得ることになりました。また宮田選手は前週に行われたスーパーフォーミュラでも2023のシリーズチャンピオンとなり、スーパーGTとスーパーフォーミュラでWチャンピオンを獲得となりました。
来シーズンはホンダがNSX-GTからCIVIC TYPE-RへとGT500マシンをスイッチし、様変わりしたスーパーGTの姿を見せることとなります。
また、GT500でミシュランを使っていたチームは新にタイヤを選択することとなり、勢力図も大きく変わっていくこととなるでしょう。
さらに面白さを増してくるのではないかと思われるスーパーGT。2024年の開幕戦は4月13日（土）、14日（日）の岡山国際サーキットとなります。
●スーパーGT2023第8戦 もてぎ GT500決勝 正式結果
順位 ゼッケン 車名 ドライバー ラップ
1 36 au TOM’S GR Supra TOYOTA GR Supra GT500 坪井 翔、宮田 莉朋 63
2 23 MOTUL AUTECH Z 松田 次生、ロニー・クインタレッリ 63
3 17 Astemo NSX-GT 塚越 広大、松下 信治 63
4 1 MARELLI IMPUL Z 平峰 一貴、ベルトラン・バゲット 63
5 8 ARTA MUGEN NSX-GT 野尻 智紀、大湯 都史樹 63
6 14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋 和也、山下 健太 63
7 39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口 雄飛、中山 雄一 63
8 19 WedsSport ADVAN GR Supra 国本 雄資、阪口 晴南 63
9 37Deloitte TOM’S GR Supra 笹原 右京、ジュリアーノ・アレジ 63
10 100 STANLEY NSX-GT 山本 尚貴、牧野 任祐 63
11 38 ZENT CERUMO GR Supra 立川 祐路、石浦 宏明 63
12 16 ARTA MUGEN NSX-GT 福住 仁嶺、大津 弘樹 63
13 3 Niterra MOTUL Z 千代 勝正、高星 明誠 63
14 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹、平手 晃平 62
64 Modulo NSX-GT 伊沢 拓也、太田 格之進 42
（文：松永 和浩 ／写真：吉見 幸夫）
