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■自動車の他にも牛や馬でけん引する車馬などの走行に関しても規定
1947(昭和22)年11月8日、現在の「道路交通法」の基本となった「道路交通取締法」が制定されました。
翌1948年1月1日から施行されましたが、まだ自動車が普及していない頃の法規なので、自動車の他にも牛や馬でけん引する車馬や人力車などの走行に関しても定められていました。
●道路交通法、安全でスムーズな交通状態を実現するのが目的
現在規定されている「道路交通法」は、自動車や自転車に乗る人も歩行者も、道路上を安全かつ円滑に走行・歩行できるようにするための法規。すなわち道路での事故やトラブルを防止して、安全でスムーズな交通状態を実現するのが目的です。
道路交通法には、主として歩行者の通行方法、車両および路面電車の交通方法、運転者および雇用者などの義務、道路の使用、自動車および原動機付自転車の運転免許、講習、反則金制度などが規定されています。
最近の代表的な改正内容としては、2019年の走行中の携帯電話使用の罰則強化、2017年の高齢運転対策の強化(認知機能検査、高齢者講習の新設)、2008年の後部座席のシートベルト着用の義務化、2007年の飲酒運転に対する罰則の強化などがあります。
なお、道路交通取締法の代りに道路交通法が施行されたのは1960(昭和35)年です。
●道路交通取締法の主な規定内容
公布された戦後間もない1947年は、日本ではまだ自動車が普及してない時代だったので、自動車の他に牛馬や人力車に関する交通ルールが規定されていました。たとえば、
第三条:道路を通行する歩行者または車馬は、左側によらなければいけない。
第四条:歩道と車道の区別のある道路においては、歩行者または車馬は、その区別に從って通行しなければならない。但し、学生生徒の隊列、葬列そのほかの行列は、車道を通行することができる。
第五条:道路を通行する歩行者、車馬または軌道車(レール上を走行する小型四輪車)は、命令の定めるところにより、信号機、道路標識もしくは区画線の標示または警察官吏の指示に從なければならない。
第七条:車馬または軌道車の操縦者は、無謀な操縦をしてはならない。
以上のように、当時の交通事情を鑑み、ルールとしては緩いものでした。歩行者もまた左側通行でもありました。
●いつ制限速度が規定され、運転免許が必要になったのか
自家用車の運転免許は、東京では1907(明治40)年から、全国的には1920(大正9)年に「道路取締令」が制定されてから始まり、そのほかにも車両と人が左側通行、自動車の制限速度は8マイル(約16km/h)などが規定されました。
車両が左側走行になった理由は、当時、日英同盟が結ばれていて、英国との関係が深かった英国の例に倣ったというのが有力です。また人が右側通行になったのは、1949(昭和24)の道路交通取締法の改正を機に安全面や合理性などを考慮して、とのことです。
大正時代までは自動車を見ることすら珍しい時代で、人も慣れていないことを考慮すると自転車並みの制限速度の約16km/hは妥当なのかもしれません。また自家用車と言っても、運転免許を取ったのは、会社の運転手や車掌など、仕事で運転する人に限られていたそうです。
交通安全のための道路交通取締法は、道路交通法となり、その後も自動車の進化や道路環境、交通事情の変化に応じて改正され続けています。
最近では、自動運転に関する法規がいろいろ改正されたことで、ヤマハ発動機の車両をベースとした自動運転レベル4の移動サービスが福井県永平寺町で始まり、注目を集めましたね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)