ヤマハの市販モトクロッサー「YZ250F」に新フレーム採用の2024年モデル登場。93年型をオマージュした50周年記念カラーも設定

■モトクロス競技用「YZシリーズ」9機種に2024年モデル

ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)のモトクロス競技用モデル、いわゆる市販モトクロッサーの「YZ250F」に、新フレームや熟成型エンジンを搭載した2024年モデルが登場しました。

2024年型ヤマハ・YZ250F
2024年型ヤマハ・YZ250F

アメリカで最も権威があるAMAスーパークロス/モトクロスに参戦するマシンのベース車両としても使われるなど、日本はもちろん、世界のオフロードレースで大活躍しているマシンがYZ250F。

その2024年モデルでは、トップモデルの「YZ450F」と同様のバイラテラルビーム・フレームを新採用。また、エンジンの中高速域パワーをアップさせたほか、専用チューニングを施した前後サスペンションを採用するなど、各部をアップデートし、さらに戦闘力をアップさせています。

また、2024年はYZシリーズが誕生して50周年。それを記念した「50thアニバーサリーエディション」をYZ250Fと「YZ125」の2モデルに設定。さらに、450cc、125cc、85cc、65ccといったほかの排気量のモデルにも新カラーを投入し、全9車種を2023年10月20日から順次発売します。

●より人車一体感が高まった新型フレーム

今回モデルチェンジを受けたYZ250Fの2024年モデルは、まず、フレームを刷新。2023年モデルで5年ぶりのフルチェンジを受けたトップモデルのYZ450Fと同様のバイラテラルビーム・フレームを採用しています。

フレームを刷新し、エンジンを熟成した2024年型ヤマハ・YZ250F
フレームを刷新し、エンジンを熟成した2024年型ヤマハ・YZ250F

新フレームでは、直進安定性、バンプ吸収性、旋回性などの要となる、タンクレールのたわみに注目していることがポイントです。タンクレールの角度変更やダウンチューブを含めた各部の剛性チューニングなどにより、フレーム環形状全体での剛性を適正化。

専用設計したエンジンハンガーの採用と相まって、スピードを維持したままのコーナー進入がよりイージーとなると共に、コーナリング中のライン自由度が広がるなど、人車一体感が高まっていることが特徴です。

また、249cc・水冷単気筒エンジンは、吸気効率を高めた後方ダクトの新作クリーナーボックスを採用。加えて、フリクションロス低減や疲労強度への寄与を両立した新カムチェーン、燃料噴射量(FI)と点火時期(IG)のマッピングを変更した新ECUなどを装備していることが注目点。

2024年型ヤマハ・YZ250F
2024年型ヤマハ・YZ250F

これらにより、従来から定評のある低中速域の扱いやすさや力強いトルク性能はそのままに、オーバーレブ特性を含む中高速域でのパワーも向上させています。

ほかにも、2024年モデルでは、リニアなレスポンスやドライバビリティなどを生むエアフローマネージメント、トラクション感とバンプ吸収性能をアップさせた専用チューニングを施した前後サスペンションなども採用。

ライディングポジションでは、シート高を5mmアップ、フットレストは5mmダウンするなどで、よりアクション自由度もアップ。スマートフォンでエンジンのセッティングができるアプリ「パワーチューナー」もバージョンアップし、介入度を3段階で調整できる「トラクションコントロール」などの新機能を搭載しています。

●50周年記念カラーも設定

さらに、新型YZ250Fと、125cc・水冷2ストローク単気筒エンジンを搭載するYZ125には、セカンドカラーとしてYZ誕生50周年アニバーサリーカラーが設定されたこともトピックです。

2024年型ヤマハ・YZ250Fに設定された50thアニバーサリーエディション
2024年型ヤマハ・YZ250Fに設定された50thアニバーサリーエディション

1974年に誕生して以来、世界中のさまざまなレースで活躍してきたのがYZシリーズ。その歴史は、ヤマハにとって、挑戦の軌跡であり、レースへの変わらぬ熱意を象徴しているといえます。

そんな50周年を記念したアニバーサリーカラーには、1993年型の「YZ125/250」をオマージュ。当時のYZをはじめ、多くのモトクロッサーは、2ストロークマシンが主流でしたが、排出ガスの問題もあり、ちょうど4ストロークマシンが台頭してくる直前の時期でもありました。

2024年型ヤマハ・YZ125 50thアニバーサリーエディション
2024年型ヤマハ・YZ125 50thアニバーサリーエディション

YZでも、4ストロークマシンが誕生する前夜といえる時期であると共に、ヤマハ製レーシングマシンのイメージカラーが、現在の「ヤマハブルー」へと変わる過渡期だったといえます。そんな、21世紀を走る最新YZへと繋がっていく出発点だった時期が、この1993年頃なのです。

今回の50周年記念カラーは、そんな時代の変革期にあった頃のYZに採用されたカラーを採用。ちなみに、筆者もその昔、このカラーと同様の「YZ80LW(80cc・2スト単気筒マシン)」を所有していましたから、とっても懐かしさ満点ですね。

●ほかのモデルにも新色採用の最新モデルが登場

今回の発表では、YZ250Fのほかのモデルも、新しいカラーを採用した2024年モデルが登場しています。

2024年型ヤマハ・YZ450F
2024年型ヤマハ・YZ450F

いずれも、シリーズ共通コンセプトである直線的なホリゾンタル・ムーブメントのビッグロゴを採用。また、ボディカラーには、3種の異なるブルー系色を調和させることで、よりレーシーなイメージを強調していることがポイントです。

各モデルの価格(税込)と発売日は以下の通りです。

・YZ450F:118万2500円/2023年10月20日発売
・YZ250F 50thアニバーサリーエディション:97万3500円/2023年12月20日発売
・YZ250F:94万500円/2023年11月20日発売
・YZ250:80万8500円/2023年10月20日発売
・YZ125F 50thアニバーサリーエディション:79万2000円/2023年12月20日発売
・YZ125:75万9000円/2023年10月20日発売
・YZ85LW:59万4000円/2023年10月20日発売
・YZ85:58万3000円/2023年10月20日発売
・YZ65:51万1500円/2023年10月20日発売

なお、これらモデルは、「ヤマハオフロードコンペティションモデル正規取扱店」で、2023年12月3日までの期間限定で予約受付を実施中(50thアニバーサリーエディションは2023年9月30日まで)。予約が生産計画を上回る場合は、予約受付期間終了を待たずに受付を終了する場合があるそうです。

(文:平塚直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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