工藤貴宏 
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■ノーマルに対して軽自動車1台分のトルクアップ
「最高出力が注目されがちですが、気持ちよく走れるようにするために狙ったのはトルクアップですね。中回転域では軽自動車1台分ほどのトルクが増えています」
エンジン担当のエンジニアは、スカイラインNISMOのエンジンの考え方に関してそう教えてくれました。
標準車に対して最高出力が15psアップの420ps、最大トルクは75Nmアップの550Nm。
実際にドライブしてみると、力強い加速なのは言わずもがな。中間加速でアクセルを踏んだ時の、トルクが湧き出すような感覚がエモーショナルです。
まあ、スカイラインNISMOは「400R」をベースに作られたコンプリートカーで、そもそもノーマルの400Rですらとんでもない速さで刺激的なのと同時に、とろけそうになるほど艶っぽいフィーリングでドライバーを高揚させてくれる仕立て。それをさらに煮詰めたわけですから、エンジンの味付けが楽しくないわけがありません。
●スカイラインNISMOは国内専売モデルだった
さて、そんなスカイラインNISMOですが、オーナーは給油に注意したほうがよさそうです。その理由は「エンジンの制御の仕立て」。
スカイラインNISMOに積むエンジンは、トルクアップ＆パワーアップのために400Rに対して制御系に手を加えてチューニングしています。
そのチューニング内容は大きくわけてふたつ。ひとつはターボ車の定番的手法であるブーストアップ。もうひとつは点火タイミングの調整です。
担当エンジニアによると「グローバル（海外にも展開する車種）では96オクタンのガソリンを前提として点火時期を設定しますが、スカイラインNISMOは国内専用モデルなので（海外のガソリン事情には配慮せず国内のハイオクの基準である）100オクタンとしてセッティングしました」とのこと。
まさか日本市場専用のチューニングとは！（というか車両自体が日本専用モデルとは！！）
日本人でよかった！！
●スカイラインNISMOに入れるガソリンについて、こだわったほうがいい理由
ただ、逆にいえば、本来のエンジン性能を堪能するためには100オクタンのガソリンを給油する必要があるということ。
「ハイオクガソリンを入れればいいでしょ！」と思うかもしれませんが、実はそう簡単ではないかもしれません。
なぜなら、この記事（https://clicccar.com/2023/06/23/1293693/）によると、市販されているハイオクガソリンの中には意外にオクタン価が低いガソリンもあるから。理論的には点火時期を攻めたエンジンにオクタン価が低いガソリンを入れるとノッキングの心配があります。
とはいえ、一般的にエンジンにはノックセンサーが付いていてノッキングを検知すると点火時期を遅らせるので、エンジンがダメージを負うようなことはないでしょう。しかし、点火時期を遅らせるということは、エンジン本来の性能を発揮できなくなるということ。言葉を選ばずに言えば、遅くなります。
だからこそ、せっかくエンジン制御を攻めてチューニングしたスカイラインNISMOのオーナーは、ガソリンにもこだわったほうがいいでしょう。
（文：工藤貴宏／写真：井上 誠）
