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■プラドのルーツは、現在でも世界で新車販売されている70系のワゴンモデルだった
2023年8月2日(水)、トヨタ・ランドクルーザープラドのニューモデルであるトヨタ・ランドクルーザー250が世界初公開されました。ランドクルーザープラドといえば、国産SUVの中でも抜群の人気を誇り、中古車でもなかなか値落ちの進まない車種の一つです。
ここでは、ランドクルーザープラドの歴史を振り替えつつ、旧型となったばかりの150系ランドクルーザープラドの人気の高さを検証してみたいと思います。
ランドクルーザープラドというネーミングのモデルが登場したのは、1990年4月です。ランドクルーザー70系ワゴンの2ドア車をマイナーチェンジするとともに、4ドア車を新設定し、新たに“プラドシリーズ”として販売を開始しました。
ポルトガル語で「平原」を意味するプラドですが、ランドクルーザー70系ワゴンのプラドシリーズは、都会的なファッション性と、本格的4WD車としての機能性・実用性を高い次元で両立させた「スーパーハイブリッド4WD」として開発されました。
70系ワゴン“プラドシリーズ”は、5人乗りの3ドアに加えて、新たに8人乗りの5ドアモデルを新設定。3/5ドア車ともに電子制御式4速ATを設定しており、レジャーなどのファミリーユースやタウンユースにも適したグレード構成となっています。
搭載しているエンジンは、最高出力97psを発生する2L直列4気筒ディーゼルターボエンジンで、トランスミッションは5速MTと4速ATが組み合わされています。
サスペンションには従来の4輪コイルスプリング式をベースに、ショックアブソーバーやコイルスプリングの配置を変更し、オフロードの走破性とともに操縦性、走行安定性、そして乗り心地も向上させています。
2代目となる90系ランドクルーザープラドは、1996年に登場しました。この90系ランドクルーザープラドは、「ニュートラディショナル4WD」をテーマに、ランドクルーザーが築き上げてきた、熱暑の砂漠から未踏の奥地まで、苛酷な使用条件下においても卓越した走破性、信頼性を一段と進化させています。
加えて、スタイリングをはじめ、乗用車としての基本性能を高めることで、新しいランドクルーザープラドの伝統作りをはじめる意欲作です。
90系ランドクルーザープラドは、先代モデルと同様に丸目のヘッドライトを採用したスポーティな3ドア車と、存在感のある5ドア車の2つのボディ体系を設定しています。
90系ランドクルーザープラドはシャシーが一新され、フロントサスにはダブルウィッシュボーン式独立懸架を新採用。さらに、リアには新開発の4リンク式車軸懸架を採用。
そして、駆動方式は従来のパートタイム4WDから、新開発のフルタイム4WDに一新され、市街地をはじめ、高速道路、雪道など、様々な走行条件においても卓越した操縦性、走行安定性、悪路走破性と同時に、快適な乗り心地を両立しています。
搭載されているエンジンは、3.4L V型6気筒ガソリンエンジンと、3L直列4気筒ディーゼルターボエンジンにはインタークーラーを装着しました。組み合わされるトランスミッションは、両エンジンともに5速MTと4速ATの2種類となっています。
シャシーを一新したことをはじめ、駆動方式をフルタイム4WDに変更するなど、悪路走破性だけでなく、オンロードでの乗り心地も重視しはじめたのが、この90系ランドクルーザープラドでした。
●歴代モデルで最も人気薄となった120系プラド
そして、3代目となる120系ランドクルーザープラドは2002年に登場しました。90系のコンセプトである「ニュートラディショナル4WD」をさらに進化させて、オンロードでの快適な走行性能を追求し、内外装とともに質感を向上させています。
120系ランドクルーザープラドは、歴代モデル同様に存在感のある8人乗り5ドア車と、躍動感のある5人乗り3ドア車の、2つのモデル体系を設定しています。
120系ランドクルーザープラドは、新設計された専用高剛性フレームを採用し、優れた操縦性・走行安定性を確保するとともに、高級セダンに匹敵する静粛性を実現しています。
さらに、センターデフに新開発のトルセンLSDを採用することで、オフロードの走破性、オンロードの性能を大幅に高めたのが特徴です。さらに、高度な登降坂制御を行うアクティブTRCをはじめ、オンロードの高い操縦性・走行安定性と、優れた乗り心地をさらに追求したH∞-TEMSや、リア電子制御サスペンションなど様々な電子デバイスを採用しています。
搭載されているエンジンは、3.4L V6と、2.7L直4ガソリンエンジン、3L直4インタークーラー付きディーゼルターボの3種類。組み合わされるトランスミッションは全て4速ATとなっています。
そして、旧型なりたての150系ランドクルーザープラドは、2009年に登場しました。プラドの魅力であるオン・オフ問わない快適な走行性能を進化させつつ、ユーティリティを徹底的に追求し、「いつでもどこへでも行ける安心感と快適性」を備えたクルマとして開発されました。
これまでのランドクルーザープラドは、3ドア車と5ドア車の2種類のボディが用意されていましたが、この150系は5ドアモデルに統一され、乗車定員も5人/7人乗りとなりました。
150系ランドクルーザープラドは、伝統のフルフレーム構造をベースに、堅牢性・耐久性を確保したプラットフォームを採用し、オン・オフ問わない優れた操縦性、走行安定性、乗り心地。さらに衝突安全性能を実現しています。
また、キネティックダイレクトサスペンションシステム(KDSS)やクロールコントロールの採用によって、市街地・高速での走行安定性と悪路走破性とを高次元で両立しています。
また、オフロードの走行環境に応じて、駆動・制動の制御をスイッチ操作で切り替え可能な「マルチテレインセレクト」。そして車載カメラの映像から周囲の路面状況を確認できる、世界初の「マルチテレインモニター」を設定し、ドライバーのサポート機能を充実させています。
搭載されているエンジンは、デビュー当初は2.7L直4、4L V6のガソリンエンジンでしたが、2015年6月の一部改良時に、4L V6エンジンが廃止され、約7年振りに2.8L直4クリーンディーゼルターボエンジンを搭載しました。この時に、トランスミッションも従来の4/5速から6速ATへと多段化され、燃費性能も向上しています。
●初代70系プラドでも約290台も中古車は流通している
それでは、最新の中古車相場とともに、150系ランドクルーザープラドの人気の高さを示す残価率を紹介しましょう。
データを調べたのは、150系ランドクルーザープラドの中古車の中で、最も流通台数の多いグレードである「2.7TX Lパッケージ5人乗り」です。
5年落ちの2018年式2.7TX Lパッケージ5人乗りの買取価格は、約299万円で、残価率は77.3%です。そして、7年落ちの2016年式でも買取価格は約228万円で、残価率は驚異の64.7%となっています。
通常で5年落ちの残価率は40%もあれば高いと言われますので、ランドクルーザープラドの人気の高さを高い残価率が示しています。
そして、各モデルの中古車相場を見てみると、150系プラドは流通台数が約2,000台と非常に豊富で、平均価格は約446万円。中古車の価格帯は約176万~約710万円となっています。
120系プラドの中古車の流通台数は、歴代モデルで最も少ない約93台。平均価格は約206万円で、価格帯は約119万~約650万円と、かなり幅広くなっています。
1996年に登場した90系プラドの中古車は約250台流通していて、平均価格は120系プラドより高い約230万円。中古車の価格帯は約80万~約420万円となっています。
そして、1990年に登場した初代70系プラドは、約290台と歴代モデルの中で2番目に多くなっています。平均価格も約269万円と2番目に高く。価格帯は約118万~約470万円と、100万円以下の中古車は流通していません。
30年前の初代70系プラドでも、しっかりとした中古車相場が形成されており、ランドクルーザープラドの人気が証明されています。やはり時代が経っても、ランドクルーザープラドは世界が認めた高い走行性能に加えて、高い信頼性と耐久性を備えたモデルというのが人気の秘訣なのでしょう。
(文:萩原 文博/写真:トヨタ自動車、萩原 文博)