日産「セレナ」5代目デビュー。プロパイロット仕様でも300万円を切る291.6万円【今日は何の日?7月13日】

■プロパイロットで注目された5代目セレナ

2016年にデビューした5代目セレナ
2016年にデビューした5代目セレナ

2016(平成28)年7月13日、日産自動車は人気のミニバン「セレナ」をモデルチェンジして5代目に移行することを発表、発売は8月24日から始まりました。

注目されたのは、ブレーキ・アクセル・ステアリングを自動制御して、同一車線を維持しながら先行車に追従する運転支援技術「プロパイロット」を採用していることです。


●初代セレナは、日産ミニバンの元祖バネット・セレナ

1991年にデビューしたミニバン「バネット・セレナ」が、初代セレナに相当します。

1991年に登場したバネットセレナ(初代セレナ)
1991年に登場したバネットセレナ(初代セレナ)

従来の商用車ベースの「バネット」を刷新、前輪をフロントシートの前に配置するレイアウトで、長いホイールベースによって広い室内空間を確保しているのが特徴。2列目&3列目の対面対座やフルフラット化など、レイアウトの自由度の高さが生かされたマルチパーパスなバネット・セレナは、新たなファミリー・ミニバンとして人気を獲得したのです。

1999年の2代目セレナは、プラットフォームを一新してさらに広い室内空間とし、ミニバン初の両側スライドドアを採用。2005年に登場した3代目は、大きなサイドウインドウと広い開口のスライドドアで利便性をアピールし、2007年にはミニバントップの販売を記録。そして2010年の4代目では、マイナーチェンジで自動ブレーキやLDW(車線逸脱警報)、さらにハイブリッドが追加されました。

●さらに広く便利になった5代目セレナ、注目されたプロパイロット搭載

人気のミニバンとして成長したセレナは、2016年のこの日4度目のモデルチェンジによって5代目に移行することを発表。同時に、注目の運転支援技術「プロパイロット」に関する技術発表も行われました。

5代目セレナの広い室内&シートアレンジ
5代目セレナの広い室内&シートアレンジ

5代目は、ブーメラン型の前後ランプや、日産の象徴となっているVモーショングリル、サイドのシュプールラインなど、ダイナミックなフォルムを採用。インテリアについては、クラス最大級の室内長と室内幅によって、ゆとりある室内空間と多彩なシートアレンジが魅力でした。

パワートレインは、4代目同様、2.0L直4 DOHCエンジンとCVTの組み合わせ。さらに、ハイブリッドも引き続いて設定されました。駆動方式は、FFと4WDですが、いずれも先代を上回る燃費性能が達成されたのです。

そして、注目されたのが当時、最も先進だった運転支援技術のプロパイロットです。そのプロパイロット搭載車が、標準的な仕様で291.6万円と、300万円を切る比較的安価な設定でした。

●自動運転レベル2のプロパイロットの仕組み

プロパイロットの操作画面
プロパイロットの操作画面

プロパイロットは、信号のない高速道路や自動車専用道路の走行に限って、アクセルとブレーキ、ステアリングを自動的に制御して、単一車線を維持しながら先行車に追従するシステムです。渋滞時や高速巡行時にドライバーの運転負荷を軽減することができます。

基本的には、ACC(追従機能付クルーズコントロール)とLKAS(車線維持支援システム)の2つの機能で構成。ACCは、車速30km/h~100km/hの範囲で、先行車との車間距離を維持する追従走行機能。LKASは、走行レーンの白線を認識して車線中央を走行するように、ステアリングの操作を支援する機能です。

プロパイロットの機能
プロパイロットの機能

同一車線の走行なら、ステアリングを軽く握っていれば、ステアリング操作を自動で操作し、またドライバーが手動に切り替えたいと意識して少しでもハンドルを操作すると、すぐに制御は解除されます。

当時は、手放し運転に関する法規が曖昧で、原則車速10km/h以上の手放し運転は禁止(現在は、条件付きでOK)の風潮があったので、セレナでは手放し運転すると5秒後には警報が鳴り、10秒後には自動運転が解除されるように設定されていました。


最近では、数年前のような自動運転技術の勢いがやや減速しているように思えます。実用化されたホンダやメルセデス・ベンツのレベル3(アイズオフも可能)であっても、通常の走行では使うための制約条件が多すぎて意外と使えない、メリットが少ない、といったような、一般車での自動運転の限界が見えてきたようにも思えますが、さてどうなってゆくでしょうか。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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