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■元祖ロッキーは、オープントップのコンパクトクロカン車
1990(平成2)年6月20日、ダイハツから「ロッキー」がデビューしました。1980年代後半のRVブームに対応するため、ダイハツが放ったコンパクトなクロカン4WDです。
2019年にデビューした現行のロッキーで22年ぶりに名前が復活しましたが、後継車ではないため、ここでは元祖ロッキーと呼びます。
●タフトから始まったダイハツのクロカン4WD
ダイハツのクロカン4WDの始まりは、1974年に登場した「タフト」です。タフトは、ジープ系のクロカン4WDと軽のクロカン「ジムニー」の中間を狙ったモデルです。
堅牢なラダーフレームで構成されたルーフもドアもないジープスタイルで、平面ガラスのフロントウインドウは、頑強なフレームとともに前方のエンジンフード上に倒すことができました。パワートレインは、1.0L直4 OHVエンジンを搭載し、駆動方式は4速MTと2速のトランスファーを組み合わせた4WDです。
1984年に進化させて車名を「ラガー」に変更しますが、タフトとラガーはともに頑強なラダーフレームと4輪リーフ・リジッドサスペンション、パートタイム4WDを備えた本格4WDでした。
●都会的な雰囲気を持った若者向きのロッキー誕生
1990年代に入ると、三菱自動車の「パジェロ」に代表されるRVブームが起こり、それに対応するためにダイハツが市場に投入したのが、オフロードだけでなく、オンロードでも快適に走り、都会的なイメージも持つ4WDロッキーだったのです。
ロッキーは、若者をターゲットにしてボクシーなスタイリングと、ポップなカラーリングやアルミホイールで都会的な雰囲気を演出。
最大の目玉は、脱着が可能なレジン(樹脂)トップで、運転席の頭上も脱着できるサンルーフを装備していることでした。トップを外せば、オープントップになり、オプションでシフトトップも用意され、3つのボディが楽しめました。
優れた走破性と走行性能性を実現するため、フロントのサスペンションはダブルウィッシュボーン、パワートレインは1.6L直4 OHCエンジンと5MTの組み合わせのみ。駆動方式は、パートタイム4WDに加えて、センターデフを備えたフルタイム4WDが選べた、本格的なオフローダーでした。
当時クロカン4WDはディーゼル車が主流でしたが、そのような中でガソリン車のロッキーは異色で、その分、車重は軽めでした。車両価格は、166.9万円(マリンランナー)~218.2万円(SXレンジトップ)に設定されました。
●一代限りの元祖ロッキーだが、22年後にクロスオーバーSUVのロッキーで復活
ダイハツが自信をもって投入したロッキーでしたが、コンセプトや見た目が似通った1988年にデビューしたスズキの「エスクード」の人気とは対照的に、販売は伸びませんでした。
エスクードに比べてやや都会派のイメージ作りが上手くアピールできなかったのでしょうか、残念ながらロッキーは、1997年一代限りで生産を終了しました。
そして22年後、2019年にお洒落でコンパクトなクロスオーバーSUVとなって「ロッキー」の名前が復活。
新型ロッキーは、2021年にエンジンで発電した電気でモーター走行するシリーズハイブリッド「e-SMART HYBRID」が追加され、現在も堅調な販売を続けています。
元祖ロッキーは、RVブームに上手く乗り切れず印象が薄かったので、現行の新型ロッキーで初めて、ロッキーの名前を認識した人が多いかもしれませんね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)