新型メルセデスAMG SLに、585PS/800Nmに達する4L V8ツインターボを積む「SL 63 4MATIC+」が追加

■0-100km/h加速3.6秒、最高速度315km/hに達する超速オープンカー

新型メルセデスAMG SLに、2023年4月25日、「SL 63 4MATIC+」が追加されました。同時に、SL 43が一部改良されています。なお、プレミアムロードスターであるSLは「Super」と「Light」から命名されています。

2022 Mercedes-AMG SL 43 Roadster R232 Launch "Hero" Image JPEG
「メルセデスAMG SL 63 4MATIC+」のエクステリア

2+2シートレイアウトを採用する新型SLは、メルセデスAMGによる完全自社開発モデルとして登場。SL専用の高剛性プラットフォーム、AMG製V8ツインターボエンジンにより、リアルスポーツカー顔負けの走りとクーペさながらの快適性を兼ね備えています。

インテリアは、アナログとデジタルを融合した「ハイパーアナログ」デザインと表し、300 SLのデザインをオマージュしながらラグジュアリーで快適なキャビンが提供されています。

2021 Mercedes-AMG SL 63 4MATIC+ Roadster R232 Launch "Hero" Image JPEG
300 SLのデザインをオマージュしたという

「SL 63 4MATIC+」は、AMG 4.0LのV型8気筒直噴ツインターボエンジン「M177」を搭載。メルセデスAMG社による完全自社開発の同ユニットは、最高出力585PS(430kW)・最大トルク800Nmを発揮。「SL 63 4MATIC+」の0-100km/h加速は3.6秒、最高速度は315km/hに達します。

4.0L V8ツインターボを積む
4.0L V8ツインターボを積む

「SL 63 4MATIC+」に組み合わされるのは、AMGスピードシフトMCT9速トランスミッション(MCT=Multi-Clutch Transmission)で、特別なチューニングが施されています。

トルコンの代わりに湿式多板クラッチが搭載され、ダイレクト感のある素早いシフトチェンジと高い伝達効率を実現。トルクコンバーターにある損失も低減され、軽量化も含めてレスポンス向上に貢献。シフトダウン時の自動ブリッピングやレーススタートによって、ダイナミックな走りも享受できます。

さらに、高速走行時などにアクセルから足を離すと、エンジンとトランスミッションを切り離して燃料消費を抑えるセーリング機能によって燃費を優先する「Comfort」、スポーティなドライビングを引き出せる「Sport」「Sport+」「RACE」、滑りやすい路面でも安定した走りが可能な「Slippery」、様々なパラメーターを個別に設定できる「Individual」の6つのモードを設定。

加えて、シフトダウン時に一速飛ばしたギヤを選択できるだけでなく、自動ダブルクラッチ機能なども備え、効率のいいシフトチェンジを提供してくれます。

●ハイパフォーマンスを誇る「SL 63 4MATIC+」はSL初の4WDモデル

また、「SL 63 4MATIC+」には、初代登場以来、70年近くに達するSLにおいて、初めて四輪駆動が採用されたのもトピックスです。AMGのパフォーマンス志向の連続トルク可変配分式四輪駆動システム「4MATIC+」を標準装備。

同システムは、異なる駆動方式の利点を兼ね備えています。駆動トルクの前後配分比を無段階で連続的に変化させることで、物理的限界まで最適なトラクションを確保。ドライやウェット、スノーなどのあらゆる走行条件下で、高い操縦安定性と安全性を実現するとしています。また、後輪駆動から四輪駆動、逆の移行も間断なく行われます。

「SL 63 4MATIC+」のリヤビュー
「SL 63 4MATIC+」のリヤビュー

足まわりも見どころ。SL 63 4MATIC+のフロントに、メルセデスAMGの量産車初となる5本のリンクをホイールの内側にすべて収めたマルチリンク式が採用され、運動性能が大幅に向上したとしています。

ホイールをコントロールする部分とサスペンション機能を受け持つ部分を相互に独立させることで、高い横加速度を可能にしています。ステアリングシステムに対する駆動力の影響を最小限に抑えることができるそう。なお、リヤも5リンク式になります。

「SL 63 4MATIC+」のコクピット
「SL 63 4MATIC+」のコクピット

また、サスペンションには、新開発の「AMG ACTIVE RIDE CONTROL サスペンション」が用意されています。こちらもメルセデスAMGの量産モデルでは初採用。トーションバー(スタビライザー)を使った従来の機械的なアンチロールバーから能動的な油圧機構を備えることで、ロールを瞬時に補正することが可能になっています。

アダプティブダンパーも2つの油圧接続を用意。一方はダンパーの縮み側に、もう1つは伸び側にあり、全4輪におけるダンパーチャンバーとラインの接続が、アダプティブダンパーのコントロールバルブを介して行われます。

加えて「SL 63 4MATIC+」には、SLで初めてリヤ・アクスルステアリングが標準化されています。車速に応じて、左右の後輪に前輪と同方向、あるいは逆方向に舵角を与えるもので、SL 63 4MATIC+の特性に合わせて精密にチューニングされ、アジリティと操縦安定性を同時に実現しているそうです。

また、リヤ・アクスルステアリングの搭載に加え、前輪のステアリングギヤ比が「12.8:1」になり、ダイレクトに変更されています。限界域におけるコントロールが容易になり、ステアリング操作の負担が小さくなるなども利点もあり、メリットが生まれます。

「SL 63 4MATIC+」のシート
「SL 63 4MATIC+」のシート

スポーティな内外装も「SL 63 4MATIC+」の美点です。フロントとリヤがさらにレーシーなデザインになり、高い動力性能にふさわしい仕立てになっています。

オプションの「AMGカーボンパッケージ」を選択すると、フロントスポイラーやサイドエアインテーク、サイドスカートトリム、リヤディフューザートリムなどにカーボンファイバーが装着されるとともに、「マットブラックペイント」の21インチ「AMG 10ツインスポークアルミホイール(鍛造)」になり、足元をレーシーに演出。インテリアにも「AMGカーボンファイバーインテリアトリム」がオプション設定されています。

「SL 63 4MATIC+」のエクステリア
「SL 63 4MATIC+」のエクステリア

一部改良では、「SL 43」に、所定のA地点(自宅駐車場など)とB地点(乗降場所など)のルートを車両に記憶させることで、車両が区間の移動、および駐車する「メモリーパーキング アシスト」を標準装備。これはドライバーが運転席に残る必要があり、同駐車支援機能の使用は、私有地に限定されます。なお、ルート上に障害物を検知すると停止します。

ヘッドライトまわり
ヘッドライトまわり

そのほか、新デザインのボンネットエンブレムも採用されています。 さらに、新たに「ヒマラヤグレーペイント」の21インチ「AMG 10ツインスポークアルミホイール」と、内装色「クリスタルホワイト/ブラック(ナッパレザー)」がオプション設定されています。

●価格
「メルセデスAMG SL 43(BSG搭載モデル)」:1700万円
「メルセデスAMG SL 63 4MATIC+」:2890万円

(塚田 勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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