■マツダ・ロードスターのキーワードは「だれもが、しあわせになる。」
モーターファンフェスタ2023のステージで、現行ND型ロードスターデビュー時の主査を務めた山本修弘 元主査によるトークショーが開催されました。
ステージ前には、先日亡くなられた初代NA型ロードスターの開発主査であった平井敏彦さんが乗ってらして、今後のロードスターの開発の役に立つのでは?ということで、退職後に後輩に当たる貴島孝雄さんなど、エンジニアに向けマツダへ寄贈された、ユーノス・ロードスターVスペシャルが置かれています。
まずは、平井さんへ哀悼の意を込めて、平井さんらが作られた初代ロードスターのカタログにあるコピー「だれもが、しあわせになる。」ことになるクルマについて語られます。
速く走るのではなくてもしあわせになる。多くのだれもが手に入れることができてしあわせになる。など、ロードスターとして外してならないいくつかの要素を語ってくれました。
そして、司会の鈴木学氏から山本さんへ向け、開発が噂される次期ロードスターNE型について聞かれると「次期NE型は電動化されると噂されていますが、ロードスターはエンジンの音、吸気の音が大事なのでそれを無くさないで、と2年前くらいまでは多くの人がそう望んでいたと思います。けれど、昨年くらいから電動化ってソリューション、つまり手段であってパーパス、つまり目的ではないですよね。だとしたら、カーボンニュートラルをロードスターでも実現したものが見たいね、という話をよく聞くようになったんですよ。もし、それが実現できる素晴らしい世の中になったら、まさに『だれもがしあわせになる』ことになる、つまり初代が生まれた時と同じなんですよ」と山本さん。
山本さんはすでに開発現場のかたでも、マツダの社員でもありませんが、これはかなり現実的な声のように思えました。
次期NE型ロードスターが噂通り電動化されても、きっとだれもが笑顔でしあわせになれるクルマに仕上げないと、平井さんをはじめとする、これまでのロードスターでみんなのしあわせをつないできた諸先輩方が許さないぞ、と現役開発陣に発破をかけたようにも聞こえました。
いずれにしても、次期NE型ロードスターは、電気で走ろうがなんであろうが、やっぱりみんなをしあわせにしてくれるクルマとして登場することでしょう。
これはつまり、ロードスターのバトンが少なくとも5代目へとつながっていることの証明とも言えるのでしょう。このことも、ロードスターファンに限らず、自動車好きのだれもがしあわせになる事実といえるのではないでしょうか。
(文・写真/クリッカー編集長 小林和久)