スバル「XVハイブリッド」登場。e-BOXERと命名されたスバル初のハイブリッド【今日は何の日?3月20日】

■e-BOXERと名付けられたマイルドハイブリッドを搭載

2012年にニューヨーク自動車ショでで発表されたスバル初のハイブリッド・XVハイブリッド)
2012年にニューヨーク自動車ショでで発表されたスバル初のハイブリッド・XVハイブリッド

2013(平成25)年3月20日、スバルは米国のニューヨーク自動車ショーで、スバル初のハイブリッド「XVクロストレックハイブリッド」を発表しました。

日本では2代目「スバルXV」の追加モデルとして、「XVハイブリッド」の車名で2013年6月から発売が始まりました。

●XVの源流は、インプレッサのスポーツワゴン

XVの源流は、1992年にデビューしたインプレッサのスポーツワゴンです。

1992年にデビューしたインプレッサスポーツワゴン
1992年にデビューしたインプレッサスポーツワゴン

エンジンは、水平対向4気筒エンジンの1.6L/1.8L/2.0Lの4機種で構成。駆動方式はもちろん、スバル伝統のフルタイム4WDです。

2007年にモデルチェンジした3代目で、スポーツワゴンに代わって登場した5ドアハッチバックがクロスオーバーSUVに仕立てられて2010年に登場、それが初代XV「インプレッサXV」です。

そして、2012年10月に誕生した2代目XVは、インプレッサが取れて「XV」となり、北米ではクロストレックとして発売が始まりました。

2012年に登場した2代目XV クロストレック(米国)。スタイリッシュなクロスオーバーSUV
2012年に登場した2代目XV クロストレック(米国)。スタイリッシュなクロスオーバーSUV

2代目XV/クロストレックは、流麗で軽やかなフォルムに、前後のアンダーガードやフェンダーガードを装備して、よりSUVらしいスタイリングに変貌。パワートレインは、1.6L&2.0L 4気筒水平対向DOHCエンジンと、新リニアトロニックCVTの組み合わせ、駆動方式はアクティブトルクスプリット4WDです。

スバルの伝統である低重心の4WDによる安定した走りを達成したXVは、コンパクトSUVとして高い人気を集めました。

●スバルらしい走り志向のハイブリッドe-BOXER誕生

2代目XVデビューの翌年2013年に、スバル初のハイブリッドを搭載した「XVハイブリッド」が追加されました。

XVハイブリッドの構造。リアにニッケル水素電池を搭載
XVハイブリッドの構造。リアにニッケル水素電池を搭載

エンジンにCVTリニアトロニックを組み合わせ、それとモーター/発電機を並列に配置。モーターは、縦置きCVTのケース内にコンパクトに収め、エンジンの出力をアシストするパラレル方式のマイルドハイブリッドです。

出力構成は、最高出力78.7kWの2.0L水平対向直噴エンジンと、出力10kWのモーター/発電機の組み合わせ。最大の特徴は、燃費よりも走行性能や走破性を重視した“走り志向のハイブリッド”であること。動力源の切り替え制御が容易な“e-BOXER”は、スバル独自のシンメトリカルAWDとも、相性の良いシステムなのです。

走り重視のハイブリッドは、要求トルクに対してエンジントルクが不足する分を、モータートルクでアシスト。エンジンは、低回転域のトルクが出にくい特性があるので、これがカバーできると排気量を大きくしたような効果があります。ちなみにハイブリッド化による価格差は、概ね25万円程度です。

●スバルらしさを失わない電動化戦略が今後の課題

XVハイブリッドは、スバル伝統の走りのイメージを損なうことなく燃費向上も果たしており、スバルの電動化に対する意気込みがうかがえます。

2022年にデビューしたスバル初の電気自動車・ソルテラ
2022年にデビューしたスバル初の電気自動車・ソルテラ

さらに、e-BOXERをフォレスターなどにモデル展開し、昨年はトヨタと共同で開発したBEV「ソルテラ」を発売。さらに、次はトヨタのTHSを利用した次世代e-BOXERの投入が計画されています。

水平対向エンジンの電動化が技術的に難しいこともあって、現時点で他社に後れを取っているスバルは、今年2023年1月1日に電動戦略部を新設して、新しいステージへと踏み出しています。


電動化の大きな波の中で、“走りのスバル”という金看板を持つスバルが、どのように電動化を進めるのか、今後の動きに注目です。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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