メーカーのカズタマイズだからこそ出来ることがある!リフレッシュされたキューブの魅力とは?【東京オートサロン2023】

■日産自動車が内外装パーツを新品にリフレッシュ!

キューブ・メイン
レトロな路面電車をイメージした外観。ルーフラックはパンタグラフのイメージだ

「GT-R」の2024年モデルや新型「フェアレディZ」のカスタマイズモデルなど、スポーティなラインナップを揃えた東京オートサロン2023の日産ブース。

その中でひときわ異彩を放っていたのが「CUBE Refreshed & Retro CONCEPT」です。

そこで、このクルマを企画した同社の石井さんに会場で話を聞いてみました。

●選んだのは走行6万kmの中古車

── まず、どのような経緯で企画されたのかを教えてください。

「今回は、中古車の魅力を向上させようという企画の一環で始まりました。新車だけでなく、中古車市場に出回っているクルマも日産の財産ですから、そこにも光を当て、メーカーとして価値を上げていく必要があるだろうと」

キューブ・フロント
グリルは長い丸形を用いた左右非対称のカタチ。キューブらしさの表現だ

── なぜ3代目の「キューブ」を選んだのでしょう?

「今回、オートサロンに出品するに当たって、どのクルマなら見た人にワクワクしてもらえるかを考えました。その点、このキューブなら中古車であることはすぐに分かりますし、実はいまだに市場で人気があるんですね。ちなみに、この車両は6万kmを走行した文字通りの中古車です(笑)」

── この、ツートンのボディカラーにはどういう意図があるんですか?

キューブ・リア
ツートンの下半分はオリジナルの「ビターショコラ」。上はザラついた素材感のあるラッピング

「実は、このクルマは路面電車をイメージしているんです。ルーフラックはパンタグラフをモチーフとし、この塗装も電車らしさを狙った。下半分の色はもともとのボディ色である「ビターショコラ」ですが、上半分は素材感のあるラッピングを施しました」

キューブ・サイド
長い丸形モチーフを使ったリアクオーターガラスのグラフィック。古い喫茶店のイメージとした

── なぜ「レトロ」というテーマにしたのですか?

「やはり中古車と親和性のある表現ですし、旧いものを大切にしようという意図もあります。また、若い人はいきなり新車ではなく、最初は中古車を買う方が多いですよね。そういった若い人たちに、いまレトロなものが流行っていることもあります。たとえば、シートカバーやドアの内張り、ウインドウグラフィックは昔の喫茶店のイメージでまとめています」

── 各所に引かれたゴールドのグラフィック的なラインは何をモチーフにしたのでしょう?

「レトロな路面電車とか喫茶店だけでは、肝心のキューブらしさに欠けてしまいます。そこで、キューブの特徴である非対称のリアクオーターガラスや、ホイールキャップに施された「長い丸形」をモチーフにしました。たとえば、ゴールドのラインをあしらったアッパーグリルも左右非対称としていますし、先のリアクオーターガラスのグラフィックにも長い丸形を使っています」

キューブ・ホイール
キューブらしい長い丸形のモチーフはホイールカバーにもあった

── とてもユニークな企画ですが、今後も中古車の企画はあり得ますか?

「そこは私たちのチームの責任でもありますね(笑)。これまで、中古車は専門の業者さんがカスタマイズを行ってきましたが、メーカーだからこそできることもあるはず。それは単純にカスタマイズすることでなくて、キューブならとことんキューブらしさを突き詰めるようなカスタマイズですね。今回はその一端を示せたと考えています」

── メーカーが乗り出せば、本当に魅力のある中古車ができると思います。本日はありがとうございました。

キューブ・プランナー
日産自動車・石井寛至氏

【語ってくれた人】
日産自動車株式会社
グローバルアフターセールス商品開発&エンジニアリング事業本部
コンバージョン&アクセサリー企画部
石井 寛至氏

(インタビュー・すぎもと たかよし)

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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