目次
■軽自動車初のハイブリッド車も注目
2003(平成15)年1月22日、スズキから軽自動車よりさらに小型の「ツイン」がデビューしました。軽自動車よりも一回り小さい2人乗りなので、個人用の足としての用途に秀でてもいます。スズキとして初のハイブリッドを搭載していることも、注目を集めました。
●ハイブリッド車は低燃費を達成するも高い価格がネックに
ツインのボディサイズは、「ワゴンR」と比べると全幅は同じですが、全長が660mm短く、全高は200mmほど低い、軽よりも一回り小さいマイクロカー。2人乗りなので、個人の移動用としての用途に限定されるコミューター的な位置づけでした。
パワーユニットとして、最高出力44PSを発揮する660cc 3気筒ガソリンエンジンと軽自動車初のハイブリッドを用意していることにも、注目が集まりました。
ハイブリッドシステムは、エンジンとトランスミッションに5kWの薄型モーターを挟み込んで、エンジン出力をアシストするマイルドハイブリッド。燃費は、ガソリン車の26km/L(10-15モード)に対して、ハイブリッドは34.0km/Lと、ガソリン車を50%も上回る低燃費を達成しています。
価格は、ガソリンの廉価仕様が49.0万円、実用モデルで84.0万円、ハイブリッド車は139.0万円の設定でした。当時の軽自動車は、居住性を高めたハイトワゴンが全盛期でした。ツインは話題性はあったもののヒットには至らず、2005年8月に生産を終了しました。
●ツインは、MCCスマートを参考にしたのかも
ツインのようなマイクロカーとして有名なクルマには、1998年にデビューしたMCC(マイクロカー社)の「スマート」があります。ツインは、スマートを参考したのでは、とも言われています。
両モデルのサイズを比べると、ツイン(全長2735mm×全幅1475mm×全高1450mm)に対して、スマートは全長2500mm×全幅1510mm×全高1520mmと、ツインより全長が短く、全幅が広く、全高はやや高いボディです。
パワートレインは、ツインの44PSの660cc 3気筒エンジンに対して、スマートは600cc 3気筒ターボエンジンが搭載され、45PSと54PS、51PSの3仕様が用意さています。
なお、全幅を1480mm以内にすると日本の軽自動車の規格に収まることから、マイクロカー社は2001年にタイヤとフェンダーを変更した日本専用モデル「スマートK」を販売しました。
小型モビリティとしての用途が一般的でなかったこともあり、街中でも見かけることはありましたが、ツイン同様、販売は振るいませんでした。
●さらに小型の超小型モビリティの将来性
ツインやスマートは、規格上の分類は軽自動車ですが、最近は軽自動車よりもさらに小型で環境性能に優れた1人~2人乗りの3輪および4輪の“超小型モビリティ”(通常はEV)が、様々なメーカーから投入されています。
国交省が認定する超小型モビリティの要件は、次の通りです。
・車体サイズは、軽自動車の規格内(全長:3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下)
・定格出力は、8kW以下(内燃機関の場合は、排気量125cc以下)で、最高速度は80km/h以下
・高速道路を運行せず、地方公共団体等によって交通安全と円滑を図るための措置を講じた場所で運行
道路交通法上は「自動車」に分類されるので、普通運転免許が必要ですが、車庫証明や車検などは不要です。
市販されているトヨタ車体の超小型EV「コムス(COMS)」や、トヨタ「C+pod」の他にも、実証試験を兼ねてホンダや日産などの超小型モビリティが街中や観光地で走っています。
軽自動車でも居住性や実用性が一番に求められる時代でもあり、1人乗りや2人乗りの小型モビリティの普及は限られてしまいます。とは言え、限られたユーザーや限られた場所などで使う特別なクルマが欲しいこともあります。ツインはそんなシーンに似合ったイメージの先駆的クルマでしたね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)