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■30年前に倣いLAショーで発表。実用的なスポーツカーを目指した理由とは?
2022年11月に開催されたLAオートショーにおいて、スバル・インプレッサの新型モデルが世界初公開されました。
1992年に誕生した初代インプレッサのワールドプレミアもLAオートショーであり、30周年という節目のタイミングであるというヘリテージを踏まえた発表だったわけです。
今度のモデルで6代目となるインプレッサですが、ご存知のように日本で発表済みの新型クロスオーバーSUV「クロストレック」と基本デザインを共通とするモデルです。
クロストレックは、従来SUBARU XVとして日本では販売されていたモデルの後継。新型より、北米などで使われていたクロストレックという車名に統一されています。インプレッサの派生モデルとして「XV」が生まれたのは2012年ですから、XVからクロストレックへの改名は10年目の大変身といったところでしょうか。
そんな新型モデル「クロストレック/インプレッサ」の開発プロジェクトチームによるレポートを入手しました。その一部を紹介しながら、新型インプレッサがどんなクルマなのかを考察していきたいと思います。
クロストレック/インプレッサともに、『FUN』をキーワードに開発されたことが説明されました。より具体的にいえば、『アクティブな日常に寄り添い、さらにFUNな気持ちになってほしい』というのが共通するグランドコンセプトといえます。
さらに歴代モデルを振り返った上で、インプレッサだけの狙いもあるといいます。
過去にインプレッサが提供してきた価値について、開発チームでは『移動が愉しい/安心できる/とことん使える/頼りになる」といった理解を進めたといいます。その結果として、新型インプレッサでは『高い実用性を備え、アクティブな行動を誘う、ユーティリティ・スポーツカー』をコンセプトとして掲げました。
●2.5LエンジンのRSグレード復活
新型インプレッサは実用的なハッチバック車ではなく、実用的なスポーツカーというわけです。
これはクロスオーバーSUVが、世の中で基本となりつつあるトレンドに沿った判断ともいえるでしょう。これまでインプレッサ/XVの関係においてはインプレッサが主でクロストレック従といった印象でした。ローンチのタイミングなども含めて、そう感じさせる部分がありました。
しかし、新型ではクロストレックを先行して世界初公開したようにクロストレックが主となっているように思います。件のレポートでも「新型クロストレック/インプレッサ」という表現が使われています。主従関係が逆転したといえます。
であれば、インプレッサは基本に忠実な実用ハッチバックである必要はなくなります。『ユーティリティ・スポーツカー』というコンセプトワードは、車高の低いスポーツカーでかつSUVにも負けない実用性が欲しいと考えるユーザーニーズを満たすクルマとして企画されたことを示しています。
極論すると、SUVをローダウンして、走りを磨いたスポーツカーを目指したモデルと理解できるかもしれません。
北米では、まさにそうしたイメージを強化する「RS」グレードが設定されることも発表済みです。スタンダードなインプレッサが2.0Lエンジンなのに対して、RSは2.5Lエンジンを積むことで、ユーティリティ・スポーツカーとしてのパフォーマンスアップを図っています。
●メーカー発表の主要諸元
あらためて、おそらく国内仕様と思われる新型インプレッサの主要諸元のメーカー発表値をお伝えしましょう。
全長:4475mm
全幅:1780mm
全高:1515mm
ホイールベース:2670mm
乗車定員:5名
エンジン型式:FB20
エンジン形式:水平対向4気筒DOHCガソリン直噴
総排気量:1995cc
最高出力:107kW(145PS)/6000rpm
最大トルク:188Nm(19.2kg-m)/4000rpm
変速装置:リニアトロニック(CVT)
モーター型式:MA1
モーター種類:交流同期電動機
モーター最高出力:10kW(13.6PS)
モーター最大トルク:65Nm(6.6kg-m)
クロストレックと比較すると、全長は5mm短く、全幅は20mm狭く、全高は35~60mm低くなっています。ちなみに、最低地上高はクロストレックの200mmに対して、新型インプレッサは135mmとなっています。
室内寸法は、インプレッサとクロストレックで共通スペック(室内長:1930mm・室内幅:1505mm・室内高:1200mm)。まさしくユーティリティ・スポーツカーと呼ぶにふさわしいパッケージといえます。
プロポーションについても、スバルが重視する視界性能は確保しながら、コンパクトなキャビンと張り出したフェンダーといった要素によって、スポーツカーらしさを表現しているといえます。
スバル・デザインの狙いとしては『硬いラインとカタチ』によってスポーティ表現をしているということで、そうした部分を実車で確認する日が楽しみです。