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■2010年代の軽自動車燃費競争のきっかけとなった低燃費モデル
2009(平成21)年12月16日、スズキの「アルト」が6回目のモデルチェンジを行い、7代目に移行。アルトは、1979年にデビュー以来、スズキを代表する基幹モデル、7代目も初代から貫いてきた低価格と使い勝手の良さ、低燃費というコンセプトが継承されました。
●スズキをけん引してきたアルト6代目までの歴史
・初代アルト(1979年~1984年)
1979年、スズキはセカンドカー需要の増加や、日常的には2名乗車が多いといった社会背景を受け、物品税がかからず価格が安く設定できる商用車“軽ボンネットバン”の新型アルトを発売。47万円という低価格で登場したアルトは、発売とともに月販台数1万8000台を受注する空前の大ヒットを記録。
・2代目アルト(1984年~1988年)
女性ユーザーへのアピールを強めて、日本初の回転ドライバーズシート、フルフラットシートを採用。1985年6月には累計生産台数100万台を達成。
・3代目アルト(1988年~1994年)
1989年、消費税が導入されたことで物品税が廃止され、商用車と乗用車の税制格差が消失。商用車(軽ボンネットバン)だけでなく、乗用車セダンも追加。1990年には軽規格変更に対応して、エンジンを550cc→660ccへ拡大するなどブラッシュアップした3代目は、アルト史上最多の販売台数を記録。
・4代目アルト(1994年~1998年)
1993年に登場した「ワゴンR」によって、軽市場に背の高いハイトワゴンブームが起こります。その影響で4代目アルトの販売は失速しましたが、走りを重視するユーザーからは引き続いて人気を維持。
・5代目アルト(1998年~2004年)
1998年に軽規格が現行規格に変更され、ボディサイズの拡大とともに軽量衝撃吸収ボディによって安全性を強化。ハイトワゴンに押されながらも、販売は堅調に推移。2001年には、累計生産台数400万台を達成。
・6代目(2004年~2009年)
新プラットフォームやサスペンションを変更して、乗り心地と静粛性を改善。スタイリングやインテリアは温かみのあるソフトな雰囲気にして、特に女性ユーザーを意識したモデルとなりました。しかし、軽自動車もセダン冬の時代となり、販売台数は歴代アルトで最低を記録。
●スズキのアルトとダイハツのミラの熾烈な燃費戦争が勃発
そして登場した7代目アルトも、初代から貫いてきた低価格と使い勝手の良さを継承しますが、特に重視されたのは、環境対応技術による低燃費でした。
スタイリングは、先代と同様に丸みを帯びた親しみやすいデザインが採用されました。基本ボディには、高張力鋼板を積極的に採用して、剛性強化と軽量化を両立。パワートレインは、660cc直3 DOHCエンジンと、CVTおよび4速AT、5速MTの組み合わせ、駆動方式はFFとフルタイム4WDが設定されました。
7代目デビューから2年後の2011年には、先進の低燃費技術満載の「アルトエコ」を追加。当時の国産ガソリン車トップの燃費30.2km/L(JC08モード)を記録。ちなみに、それまでの燃費トップは、この2ヶ月前にデビューしたダイハツ「ミライース」の30.0km/Lでした。
このスズキとダイハツの燃費トップ争いが、その後の熾烈な軽の燃費競争のきっかけとなったのです。
その燃費競争も、2016年以降に発覚した複数メーカーの燃費不正という形で終焉を迎えました。そのせいでしょう、最近は燃費トップとか燃費何km/Lとかいったメーカーのアピールは少なくなりましたね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)