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■XVからクロストレックへと新しい名前になり、2022年11月受注開始予定
スバルのクロスオーバーSUVファミリーにおける末弟的ポジションの「SUBARU XV」のフルモデルチェンジが近づいています。
スバルファンであればご存知のように、次期モデルではXVから「クロストレック」に改名することが発表済み。この名前は「クロスオーバー+トレッキング」に由来するもので、北米市場をはじめグローバルではずっと使われています。日本仕様を改名するというのは、グローバルネームに統一するという意味合いです。
新生クロストレックは11月から先行受注が始まるという噂もありますが、まだ発売前です。そんなクロストレックのプロトタイプに一足早く試乗する機会を得ることができました。試乗ステージは、伊豆サイクルスポーツセンター。ワインディングをイメージさせるコースです。
ところで、新型クロストレックには、AWD(四輪駆動)のほか、FWD(前輪駆動)も用意されるというのもニュースですが、今回はAWD車を旧型(XV)と比較して、どのような違いを感じたかをお伝えしようと思います。
プラットフォーム、パワートレインともブラッシュアップしたクロストレックの走りは、どのように進化しているのでしょうか。
●ボディのねじり剛性は1割増し、ハコのしっかり感も向上
車名は変わったとはいえ、スタイリングからもキープコンセプトであることは明白ですが、ハードウェアについても基本的にはキャリーオーバー&ブラッシュアップといえます。
プラットフォームはXVが採用した「SGP(スバルグローバルプラットフォーム)」の発展形で、水平対向エンジンを軸とするパワートレインは2.0Lガソリン直噴+マイルドハイブリッドのe-BOXERというのもXVと共通です。
ただしボディについては、レヴォーグなどと同じインナーフレーム構造を採用することで、ねじり剛性を10%アップにしているといいます。そのほか局部剛性についても締結力を向上させるなどして高めているといいます。
ボディのしっかり感を向上させたことで、サスペンションをしっかり動かせるようになりました。そのためXV比でサスペンションのバネレートを下げて、四輪接地感を高めているというのは注目の進化ポイントといえるでしょう。
実際、新型クロストレックと従来型XVを同じように走らせてみると、クロストレックのほうが四輪のタイヤをうまく使っている印象があります。フロントだけで曲がるのではなく、しっかり後輪も使って曲がっていくため舵角が少なく済んでいるのは、その証といえるでしょう。
またタイヤのスキール音にしても、XVはフロントから鳴り始めるのに対して、クロストレックは前後の外輪が同じように鳴っているように感じます。このあたり、接地感の違いと言い換えることもできます。
ただし、初期の動きについてはXVの方がキビキビとしている印象はありましたし、車重の違いなのか、アクセルを踏み始めた領域での加速感でもXVに鋭さを感じるシーンがありました。逆にいえば、クロストレックのAWD車については、クラスを超えた落ち着き感があるといえるかもしれません。
このあたり、ルーフの共振を抑えるなど、静粛性をレベルアップさせていることも印象に影響を与えていそうです。
●ドライビングポジションは想像以上に異なる印象
ドライビングでの印象に大きく影響している要素としては、フロントシートも見逃せません。
シートレールの取り付けから見直し、仙骨を押さえる新構造を採用したシートは、体の支え方そのものが変わったという印象です。今回試乗したワインディング路でいえば、大きくロールしたときの安心感において貢献していると感じました。
不思議だったのは、ドライビングポジション全体のイメージも大きく変わっていたことです。
従来型のXVでは左足ブレーキを使っても、右足でブレーキを操作しても同じような感覚で運転できましたが、新型クロストレックでは左足ブレーキを使うと違和感を覚えました。
これは個人的な感触でしかありませんが、ドライビングポジションの基本となるパッケージにおいて、シート構造の進化が関係しているのかもしれません。
XVとクロストレックで違うと感じたポイントとして、AWD制御も挙げられます。
クロストレックでは、駆動力によって曲がりやすくなるような制御が組み込まれているようです。つまり、XVより積極的にアクセルを踏み込んでいくといったドライビングが楽しめるのです。
前述したように、基本的なメカニズムに共通点は多く、シチュエーションによってはXVのほうが速く感じることもあります。しかし、AWD制御によりドライビングスタイルから変えてしまうような進化はクロストレックのチャームポイントとなり、XVオーナーが乗り換える理由のひとつとなるかもしれません。それくらい気持ちよく走れる様に進化を感じたのです。