■力強いハコの中に日産らしい俊敏さを融合させる
9年ぶりにモデルチェンジされた新型「エクストレイル」が好評です。9月末時点で2万3千台を受注したという新型のデザインの魅力はどこにあるのか。さっそく、エクステリアデザインをまとめた小泉氏にお話を伺いました。
●3拠点での開発で市場のニーズに応える
── では始めに。新型の商品コンセプトとは別にデザインコンセプトはありましたか?
「いえ、商品コンセプトそのままで、『Toughness(力強さ)』と『Refined(上質さ)』を融合させた、いわば二刀流ですね。エクストレイルは北米と中国もメインの市場ですが、北米ではSUVらしいラギット感が求められ、中国ではプレミアムさが重要です。そこで日本を含めた3拠点で開発をスタートし、異なる数多くのスケッチから、どこがストライクゾーンなのかを議論しました」
── タフネスでは「四角さ」が謳われていますが、Aピラーは意外に寝ているし、ルーフラインもかなり滑らです
「ええ、その2点はかなり議論したところですね。全体のソリッドなカタマリ感と洗練された表情をどう融合するか? Aピラーについては、今回キャビンが新設計ということもあり、四角い中に日産らしい俊敏さが表現できるよう徹底して吟味しました。ルーフラインはよりスクエアな案もあったのですが、ピラー同様日産らしさの表現ですね」
── フロントですが、Vモーショングリルには段差もあり、立体的なのが印象的です
「はい。SUVのラギットな表現として、『ARIYA』や『セレナ』のような面一的ではない表現ですね。外周の段差に加え、たとえばグリル内は組木を現代風に解釈した3Dの立体で、これは日産の『タイムレス・ジャパニーズ・フューチャリズム』を反映した、あたかも御影石のような素材感としています」
── 上下二段構成のランプや、大きなエアインテークの狙いはどこにありますか?
「実は、スケッチ案のほとんどが二段表現だったんです。それにしても偶然のようでしたね(笑)。また、エアインテークは大きな単位の造形でタフさを打ち出したかった。ちなみに、ここは実際に空気を取り入れて整流効果で空気抵抗を減らしているんです」
── サイド面です。ドア断面は、ボディの大きさのわりにことさら大きな張り出しは感じません
「そこは2018年発表のコンセプトカー『Xmotion Concept』がベースになっています。通常は前後の張り出したフェンダーを強いラインでつなぎますが、それはエクストレイルじゃない。前後フェンダーをもっと瑞々しい表情で結び、タフと上質のブリッジとしたかった。このラインはU字形のハイライトを発し、景色の映り込みも美しいんですよ」
── リアピラーは最近の日産のキックアップ表現とは異なりますね
「やはり、SUVとして堅牢さやプロテクト感を出す必要があって上部までボディ色としました。それと、エクストレイルは初代から歴代『く』の字のリアピラーが特徴になっていますので、その継承でもありますね」
── 四角いボディの中でも、リアピラーからリアガラスにかけてはカドを大きく絞っているように見えます
「いえ、実はサイズ的にはそれほど絞っていません。新型はリアフェンダーからランプにかけて大きく張り出していますので、相対的にそう見えるのだと思います。ちなみに、リアガラス両端の三角形のスポイラーは空力性能にかなり効いています。巡航距離をかなり意識した結果ですね」
── リアビューでは、ランプ下の「えぐり」が珍しい表現ですね
「ここも先のコンセプトカーでの提案なのですが、リアを上下でクリアに分けることで、単なるハコではない立体感を表現したかった。リアがのっぺりしないような3D感ですね。とくにサイドから見たとき、高いところにある軸線が特徴なんです」
── 最後に。ランドローバーの「ディフェンダー」やジープの「レネゲード」など、スクエアなデザインには根強い人気があります。今回新型を手掛けてみて、その点はどう感じられましたか?
「カーデザインとして言うと、角と丸の両方に振れながらベストバランスを見つけている感じですね。スクエアさを求められる車種もあればそうではない車種もありますが、どちらであろうとも、そこに日産らしい俊敏さ、端正さ、シャープさ、モダンさをどう実現できるかについて毎日チャレンジしています」
── 本日はありがとうございました。
(語る人)
日産自動車株式会社
グローバルデザイン本部
第二プロダクトデザイン部
デザイン・マネージャー
小泉 顕一郎
(インタビュー・すぎもと たかよし)