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■10代目のファイナルエディションをもって、ランエボ終焉
2007(平成19)年10月1日、三菱自動車は伝統の高性能スポーツ「ランサー・エボリューションX(テン)」を発売しました。
1992年のデビュー以来、WRCや国内レースでの大活躍で一世を風靡したランエボも、ついにこの10代目をもって最終世代を迎えました。
●高性能ターボエンジンと優れた走破性の4WDを纏った初代ランエボ
初代ランエボは、ギャランVR-4に代わってWRCに参戦するために、ランサーGSRをベースとして1992年9月に誕生。
コンパクトなボディに、高性能の2.0Lターボエンジンと優れた走破性を誇る4WDを組み合わせた最強のラリーマシンは、2500台の限定販売が3日間で完売となるほどの人気となりました。
パワートレインは、最高出力250PS/6000rpm・最大トルク31.5kgm/3000rpmを発揮する2.0L直4 DOHCインタークーラー付きターボエンジン(4G63型)と5速MTの組み合わせ。駆動方式は、ビスカスカップリング(VCU)をLSDに使ったセンターデフ式のフルタイム4WDでした。
1993年から“WRCグループA”に参戦、1995年スウェディッシュラリーの初優勝を皮切りに、1990年代後半から2000年代初頭にはスバルの「インプレッサWRX」とともに、世界のラリー界を席巻しました。
●新開発のエンジンで完成度を高めた最終世代
2007年に登場したランエボXのベースとなったのは、国内向けに販売されていた「ギャラン・フォルテス」。しかし、モデル名は海外でも知名度の高いランサーが採用され、ランサー・エボリューションがそのまま使われました。
エンジンは、それまで搭載されていた名機4G63から、新開発の2.0L直4 DOHC MIVECインタークーラー付きターボエンジン(4B11型)に変更され、最高出力280PS/6500rpm・最大トルク43.0kgm/3500rpmを発揮。
さらに、トランスミッションは、5速MTに加えて、ツインクラッチ付きSSTが設定されました。SSTは、ドイツのゲトラグ社が開発したDCT(デュアルクラッチトランスミッション)です。
4WDは、新開発のクルマの動きを総合的に電子制御するS-AWC(スーパーアクティブホイールコントロール)が採用されました。
高い戦闘力を持ったランエボXでしたが、この時期には三菱はWRC参戦から撤退しており、ランエボXが世界の舞台に上がることはありませんでした。
●ランエボX最終型ファイナルエディションでランエボもついに終止符
2015年、三菱はランエボの生産を終了することを決断。併せて最終バージョン「ファイナルエディション」を発売することを発表しました。10代・23年間にわたって進化し続け、ラリーマシンの代名詞ともいえるランエボですが、2016年をもって終焉を迎えました。
ランエボXをベースにしたファイナルエディションは、同一エンジンながらNa封入排気弁の採用などのチューニングによって、最高出力300PS→313PS、最大トルク43.0kgm→43.7kgmにパワーアップ。
外観は、フロントグリルの周囲を取り囲むモールがダーククロムメッキに変更されているのが特徴です。販売価格は約430万円で、限定1,000台はあっという間に完売となり、市場では1000万円以上で取引された個体もあったようです。
昨年三菱は、モータースポーツを担当する「ラリーアート」を復活させ、モータースポーツ活動の再開を発表しました。名車ランエボのようなスポーツモデルを、ぜひEVかPHEVで復活させてほしいですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)