新東名高速道路の制限速度は100km/hで決定!

4月14日15時に開通する新東名高速道路。

話題を呼んでいた制限速度ですが、静岡新聞などが主宰するWEBサイト「@S」2月28日付け報道によると、100km/hに決定したようです。
100km/hの決定理由については報道によると、国の有識者検討委員会が2009年3月に取りまとめた報告書で「規制速度が時速100キロを上回ると事故率が増加するため、引き上げる状況にない」と結論付けた、とあります。

高規格道路として設計速度を140km/hまで引き上げて建設計画されたことにより、多くのメディアは「制限速度130km/hになる!?」などの記事を連発していましたが、100km/hが決定された瞬間に一斉に批判を始めているという印象を受けます。

とくに「規制速度が時速100キロを上回ると事故率が増加するため、引き上げる状況にない」という100km/h決定の理由に根拠がない、という論調が多数を占めています。本当にそうでしょうか?

筆者は同業のジャーナリストなどと新東名の制限速度の話しをするときには必ず「100km/h以外はありえない」といっておりました。乗用車を基礎に考えれば多くのメディアの論調の制限速度130km/hは可能であろうと考えます。
しかし、問題は長距離の大型トラックです。

現在、長距離の大型トラックには80km/hで作動する速度リミッターの装着が義務付けられています。そこに制限速度130km/hで走行する乗用車が通りがかれば速度差は50km/h。

一般的なドライバーは制限速度40km/hであれば40km/hで走るように教習所で教わります。高速教習でも制限速度100km/hであれば100km/hで走るように教わるのです。この状況で制限速度130km/hであれば130km/hで走らなくてはいけないと考えるのは火を見るよりも明らか。

そして、動体視力に優れる20代、30代のドライバーなら危機回避も容易であろうと思いますが、いまや人口の多数を占める40代以上の一般ドライバーにとって130km/hと80km/hの速度差50km/hを考えると、0km/hつまり駐車状態のトラックと50km/hの乗用車の速度差50km/hよりも危険ではないかと考えるのです。

なぜなら、風景に対して前方のトラックは移動しているので速度差が把握しにくい。つまり、気がついたら直前にいる、という状況が考えられます。そこで急ブレーキを踏もうものなら…。
速度差20km/hはちょっと遅いな、と感じる程度ですが、速度差50km/hはかなり遅いのです。

そう考えると、乗用車の速度制限を130km/hにするなら大型トラックは110km/hにしなくてはなりません。
そうするとリミッターの交換が必要となり運送業者にはかなりの負担となりますし、また110km/hリミッターの装着車で他の高速道路を走るとなると事故の危険性が増すことにもなる、とお役所が考えるのは至極当然と言えます。

ITSなどの交通管制技術が進んで、道路によってリミッターの作動速度が変わるように出来ない限りは、乗用車の制限速度は100km/h以上には出来ないのではないのでしょうか。

お役所の決定に怒り出す前に、制限速度引き上げを勝ち取る努力が「技術的」にも「人的」にも足りなかったのでは?と考えるに至ります。
いい道路が出来たといっても、いい条件が降って湧くわけでは無い、と考えます。

新東名制限速度は100キロ 県警「引き上げ困難」(@S)
http://www.at-s.com/news/detail/100103036.html

(北森涼介)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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