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■大ヒット作オデッセイにトヨタが挑戦
1998(平成10)年5月29日、当時大ヒットしていたホンダ「オデッセイ」の対抗馬として、トヨタから「ガイア」がデビューしました。1994年にデビューしたオデッセイは、3列シートの広い室内空間を確保した3ナンバーサイズの新世代ミニバンとして大ヒット、新しいミニバンブームを開拓しました。
●イプサムの課題を解消してガイアが登場
トヨタは1996年に5ナンバーサイズのミニバン「イプサム」を投入、まずまずのヒットはしましたが、オデッセイと比べると全長で220mm、車幅で75mmほどコンパクトであったため、一部居住空間などに不満の声が上がっていました。
そこで登場したガイアは、イプサムと同じ5ナンバーサイズのミニバンながら、イプサムより全長を90mm、全高を20mm伸ばして、イプサムの欠点の解消を図ったのです。一見するとオデッセイと見間違えるほど大胆に類似したスタリングを採用して、ある意味ライバル心むき出しで登場したガイアでしたが、3列目まで使用した際の荷室の狭さは解消され、インテリアについても高級な素材を多用することで、イプサムより1ランク上の上質感を演出しました。
さらに、センターウォークスルーを可能としたシート配列によって、快適性と使い勝手の良さも向上しました。パワートレインは2.0L直4DOHCおよび2.2L直4ディーゼルターボと4速ATの組み合わせ。駆動方式はFFと4WDが用意されました。4WDは前後輪のトルク配分をほぼ0:100のFF状態から、50:50の直結4WDの間で連続的に可変して、様々な条件下でも安定した駆動力を発揮する「アクティブ4WD」を採用しました。
●3ナンバーのミニバンの牙城は崩せず、生産を終了
ガイアは6年間モデルチェンジすることなく、2004年で生産を終えました。狭い道でも取り回しが楽な5ナンバーサイズで、イプサムよりは車高が高く開放感があることから、一定の支持を受けることには成功しました。しかし5ナンバーサイズであっため高級ミニバンの仲間に入れず、ライバル視した3ナンバーサイズのオデッセイには太刀打ちできずに1代限りで生産を終えたのです。
なぜ、イプサムと同じ5ナンバーのミニバンとしたのか、なぜオデッセイと似たスタイリングを採用したのか、疑問を感じてしまいます。トヨタが得意とする2番手戦術で、珍しく失敗した例かもしれません。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)