■21インチタイヤでも持て余さないエアサスペンションの「サミット・リザーブ」は魅力的
2022年2月19日に発売された新型ジープ・グランドチェロキーLは、3.6LのV6エンジンが縦置きされ、8速ATが組み合わされています。
駆動方式は、センターデフロックと副変速機付の「クォドラトラックⅡ 4×4システム」の4WDのみになります。
上位グレードの「サミット・リザーブ」には、「クォドラリフト エアサスペンション」が採用されています。
路面への当たりが良好なのは、エアサスが付く「サミット・リザーブ」で、首都高のコーナリングでも腰砕けになるような動きは見せません。
275/45R21サイズのタイヤは、バネ下も決して軽そうではないですが、21サイズのタイヤをはきこなしているのが印象的です。
以前お伝えしたように、「リミテッド」との価格差は211万円もあります。このエアサスペンションだけでもちろんその差額は埋まらないものの、コイルサス仕様の「リミテッド」よりもフラットライド感があり、街乗りから首都高速くらいの速度域なら上質な乗り味に終始します。
「リミテッド」のタイヤサイズは265/60R18で、凹凸を乗り越えた際の突き上げも抑えられています。「リミテッド」でも十分に乗り心地の良さを享受できます。
2170kgという重量級で(サミット・リザーブは、2250kg)、ホイールベースは3090mmもありますから、適度な重厚感がありながらもその巨体の割に軽快に走る感覚も魅力です。
286PS/6400rpm、344Nm/4000rpmというスペックを誇る3.0L V6エンジンも思いのほかレスポンス良く回る印象で、走り出してしまうと5.2mに達する巨体であることを忘れさせてくれます。
4WDモデルの割に、操舵に対する姿勢も素直で、走り出してしまえば首都高のコーナーリングも決して苦手にしないのも好印象でした。BMWやメルセデス・ベンツの高級SUVは、硬い乗り味に代表されるように、もっと隙がない雰囲気が走りから伝わってきます。
レンジローバーやレンジローバー・スポーツあたりは、正装をまとったスポーティSUVといえるテイストで、ある程度気を張ってステアリングを握らなくてはと思わせるムードを漂わせています。
じつに10年ぶりにフルモデルチェンジを受けた新型グランドチェロキーLは、やはりアメリカンSUVらしいおおらかさがその乗り心地、回すと少し騒々しさもあるアルミ製の「ペンスター」エンジンから伝わってきます。
8速ATによりシフトマナーは洗練されていて、十分に快適で静かなキャビンに身を預けながらドライブを楽しめます。
肩ひじ張らずに3列シートの大型SUVに乗りたいという層には、うってつけの存在といえるでしょう。
●ボディサイズ:全長5200×全幅1980×全高1795mm(サミット・リザーブ)
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)