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■新ライダーのダリン・ビンダー選手が加入
2輪レースの最高峰「MotoGP」で、ワークスライダーのファビオ・クアルタラロ選手が2021年シーズンの年間チャンピオンに輝いたヤマハが、早くも2022年シーズンの体制強化を発表。
ヤマハのサテライトチームとして参戦する「WithUヤマハRNF MotoGPチーム」と契約を締結し、GPマシンYZR-M1を供給することを明かにしました。
●新チーム発足の経緯は?
WithUヤマハRNF MotoGPは、マレーシアの「セパン・インターナショナル・サーキット」の元CEOであるラズラン・ラザリ氏がチーム代表を務めるチームです。
2021年シーズンまでは、ヤマハのサテライトチームとして2021年シーズンを活動している「ペトロナス・ヤマハSRT」などを運営。MotoGPでは、伝説のライダーと知られるバレンティーノ・ロッシ選手と、シーズン途中から加入したベテランのアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手が所属しています。
ところが、ペトロナス・ヤマハSRTを運営するセパン・レーシング・チームは、マレーシアの国営石油会社であるペトロナスとのパートナーシップが解消されることで、2021年シーズンで活動を終了することが決定。
そこで、チーム代表のラザリ氏は、新しくRNF MotoGPチームを発足、ヤマハと2022年までの1年契約を締結して、GPマシンYZR-M1の供給を受ける新チームとして2022年シーズンを闘うことが決まったのです。
さらに、10月25日、ヤマハは同チームに新しいタイトルパートナーとして「WithU」が決まったことも発表。新サテライトチームとしてWithUヤマハRNF MotoGPチームが発足したことが明らかになったのです。
なお、ヤマハと同チームとの契約は、2023年と2024年にパートナーシップを延長するオプションも含まれているため、少なくとも今後3年間はヤマハと共にMotoGPを闘うことも決まっています。
●若手とベテランの2ライダー体制
新チームには、2名のライダーが活躍する予定です。まず、2021年シーズン途中からペトロナス・ヤマハSRTに所属するアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手が継続参戦。
イタリア出身35歳のドヴィツィオーゾ選手は、2001年からMotoGPの前身であるWGPに参戦する大ベテランです。かつては、ドゥカティのワークスチームに所属し、2017年から2019年までの3シーズン連続でランキング2位を獲得するなど、多くの実績を持つライダーといえます。
ちなみに、ドヴィツィオーゾ選手は、ドゥカティとの契約がなくなり、元々は2021年シーズンのMotoGPには参戦していませんでした。
ところが、ヤマハのワークスライダーだったマーベリック・ビニャーレス選手が、シーズン途中でヤマハとの契約解消により脱退。ペトロナス・ヤマハSRTに所属していたフランコ・モルビデリ選手がワークスチームに昇格します。
そして、モルビデリ選手の後任となったのがドヴィツィオーゾ選手。9月の第14戦サンマリノGPから、MotoGPに復帰しています。
一方、バレンティーノ・ロッシ選手が2021年限りで引退するため、もう1人のライダーには、MotoGPの下位クラスで、250ccマシンで競うMoto3クラスで活躍するダリン・ビンダー選手が加入。
ビンダー選手は、南アフリカ出身で1998年生まれの23歳。2015年から世界選手権を戦う若手ライダーです。なお、兄はオーストリアのメーカー、KTMのワークスライダーであるブラッド・ビンダー選手で、メーカーを超えた兄弟対決も期待できます。
活きがいい若手と熟練のベテランが揃ったヤマハの新サテライトチーム、2022年の台風の目になることに期待したいですね。
(文:平塚 直樹)