日産リーフがパイクスピークを激走。サムライスピードと大井貴之選手の活躍に注目!

■富士山より高いゴールを目指す過酷なヒルクライム!

サムライスピードのリーフがパイクスピーク参戦
サムライ スピードの日産リーフe+

アメリカ中央部のコロラド州で毎年行われている「パイクスピーク インターナショナル ヒルクライム(PPIHC)」。パイクスピーク山の中腹からスタートし、標高4301mの頂上めがけて、およそ20kmのワインディングを全開で駆け上がる世界屈指のヒルクライム・イベントです。

サムライスピードのリーフがパイクスピーク参戦
前後にモーターを積む4WD仕様です

今年は6月27日(日)が決勝日となるこのイベントに、日本のエクストリームモータースポーツチーム「サムライ スピード」が参戦します。

毎年EVによるパイクス挑戦を続けてきた同チーム。昨年はコロナの影響でやむなく参戦を断念しましたが、今年は改造制限なしの「アンリミテッドクラス」に日産リーフe+を持ち込み、優勝を狙います。

サムライスピードのリーフがパイクスピーク参戦
現地での車検の様子
サムライスピードのリーフがパイクスピーク参戦
こちらも車検風景。リアのモーターがちょっと見えます

もちろん、アンリミテッドクラスの参戦マシンですからただのリーフではありません。過酷なアタックに向けたさまざまなチューニングが施されています。たとえば駆動系は、350V/62kWhというバッテリーはそのままに、リアにモーターを追加したツインモーター4WD仕様へ変更。急激な放電によるバッテリーの発熱に対応するべく、パートナー企業サンデン・アドバンストテクノロジーが開発した専用のバッテリーサーマルマネジメントシステムも搭載しているそうです。

サムライスピードのリーフがパイクスピーク参戦
前後ドアやルーフは次世代素材といわれるカーボンセルロースナノファイバー

4WD化にも関わらず、車重は1628kgと市販車両と同程度を実現。これに貢献したのが、大王製紙が開発したセルロースナノファイバー(CNF)製ボディパネルです。CNFは植物由来で、軽量、高強度、高弾性率を誇る次世代の素材ですが、サムライ スピード リーフはこれをルーフや前後ドア、ドアミラーなどに使用して、劇的な軽量化を達成したのです。

サムライスピードのリーフがパイクスピーク参戦
大井貴之選手。クリッカーでもおなじみですね

このマシンをドライブするのは、クリッカーでもおなじみのレーシングYouTubeR大井貴之選手。もともとはラリーストの奴田原文雄選手(2012年PPIHC電動車部門チャンピオン)が決定していたのですが、地元北海道で開かれる「ラリー・カムイ」参戦のため大井選手が交代することに。とはいえターマックの走りでは大井選手も負けていませんから、結果が楽しみですね。アメリカ入国時にコロナワクチンも接種して、張り切っているようです。

スタートとゴールの標高差1439m。「スタートは半そでTシャツ、ゴール地点は雪景色」とも言われる過酷なパイクスピークの戦いに注目です。

(文:角田伸幸/写真:サムライ スピード)

この記事の著者

角田伸幸 近影

角田伸幸

1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っている車の名前が全部言える子供」として育つ。
上京して社会人になるも車以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。
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