■新型キャシュカイや新型ローグに生産用アルミとして再利用
日産自動車は、新型キャシュカイにアルミ部品の「クローズドループ・リサイクル」のプロセスを適用すると発表しました。欧州で生産されるモデルとして初になります。新型キャシュカイは、欧州で今夏発売予定とアナウンスされています。
「クローズドループ・リサイクル」とは、生産時に発生した廃棄物やスクラップ、回収した自社の使用済み製品を同等の品質を維持した材料として再生し、再び自社製品の部品に採用する手法。
新型キャシュカイでは、ボンネットフードやドア、フロントフェンダーにアルミニウム板が採用されたことなどにより、旧型車よりも約60kgのダイエットを果たしたそう。これにより走行時のCO2排出量の削減と共に、将来の電動パワートレインなどの新技術の搭載が可能になるとしています。
こうしたアルミニウム部品を製造する設備として、英国のサンダーランド工場に2020年に導入された、2台目の超大型プレス機、リサイクル用の大型エア搬送システムが用意されています。
フードやドアを型抜きする際に発生する金属スクラップは、このエア搬送システムにより細断。細断されたスクラップは、150km/hというスピードで排出され、1時間で7t以上のスクラップを処理することができます。処理されたスクラップは、アルミニウムの材種ごとに区別された状態で回収されることで、高品質のスクラップをサプライヤーに還元することが可能に。
還元されたスクラップは、再びアルミ板に加工され、新型キャシュカイのパネル部品を含む日産の生産用アルミとして再出荷されます。
アルミスクラップをリサイクルすることで、原材料から同量のアルミニウムを作るのに必要なエネルギーの90%以上を節約することができるとともに、新規採掘資源の使用量削減にも貢献できる利点があります。
クローズドループ・リサイクルのプロセスは、2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクルアセスメントにおいて、カーボンニュートラルを実現するという同社の目標の達成にも寄与すると期待されています。
同プロセスは、北米の新型ローグを生産する日産自動車九州と北米日産スマーナ工場にも採用され、今後は、そのほかの工場や車種にも同プロセスの適用拡大を検討すると表明しています。
自動車メーカーは、走行時のCO2排出量ゼロを目指すだけでなく、原料調達から排気、リサイクルまでのライフサイクルアセスメント(LCA)の手法が不可欠になっています。
(塚田 勝弘)