■力はいらない
「普通のクルマじゃないことを主張しているみたい。ちょっと目立って恥ずかしいけど、特別な雰囲気にテンション上がるわ」と彼女。
BMW i8のドアの開き方は普通じゃない。横ではなく、上に向かって開くのだ。
上に向かって開くドアは一般的な総称として「ガルウイング」と呼ばれがちだけど、i8のドアは正確にいうと「バタフライドア」だ。
「バタフライ」とは蝶のこと。ランボルギーニなどの「シザースドア」に似ているけれど、開いたときにドアパネルが上を向き、蝶の羽のように見えるからバタフライドアと呼ばれる。
「意外と簡単に開くのね」
上に開くんだから力がいりそうだけど、じつはそうじゃない。アシスト機構を組み込んでいるから、力を入れなくても開けることができる。
●チラリと見えるカーボン素材
開放時は一般的なヒンジ式ドアに比べて横方向への張り出しは小さい(車体脇に50cmほどの空間があれば全開放できる)し、開けたドアが足先の動きを邪魔しないから乗降性は悪くない……。と思いきや、「そうでもないのよ」と彼女は言う。
問題はサイドシル。幅広で位置も高いサイドシルが、乗り降りの邪魔をするというのだ。
確かにそうかもしれない。「ミニスカートだとかなり厳しい」という彼女の声に、黙って同意するしかなかった。
「でも、チラリと見えるサイドシルのカーボンの折り目とかカッコよくない?」なんて、そんな彼女にむかっては、とても言えない……よね?(つづく)